第597夜:津軽こけしの源流を求めて(諒祐3)
引き続き、諒祐さんの盛秀古型の紹介である。写しの対象となった「原」こけしは西田記念館に所蔵されている昭和初期の盛秀こけしで、顔の上部と左右に赤い飾りを付けた通称「前髪」と呼ばれるこけしである。(kokeshi wikiの盛秀太郎の項を参照)。前2夜で紹介した盛秀古作は「こけし這子の話」に掲載された大正期のこけしで、その表情はグルーミー感が強いが、今夜の盛秀古作はやや後年の作となり、鯨目の表情もやや穏やかになっている。では、諒祐さんの「前髪」を見てみよう。
こちらが今夜のこけしである。大きさは5寸。木地形態は第595夜の盛秀古型と同様であるが肩の丸みが減って胴中の反りが少なく直胴に近くなっている。従って、形態的には「原」とはかなり隔たっているが、胴のアイヌ模様やロクロ線の配色はほぼ「原」に倣っている。面描では、特徴の一つである離れた鬢と点状の赤い飾りはほぼ「原」通り、鯨目と赤い口も倣っているが小品であることもあって特徴は薄い。頬紅は描かれていない。
同型の恵介こけし(右)と並べてみた。恵介作は「原」に忠実に作られたもので完成度も高い。それに比べると諒祐作はまだまだこれからと言った出来栄えである。それだけに今後どのように変化していくかは大きな楽しみでもあり、期待して見守りたい。
« 第596夜:津軽こけしの源流を求めて(諒祐2) | トップページ | 第598夜:宣直さんの復活こけしとその後 »
「津軽系」カテゴリの記事
- 第597夜:津軽こけしの源流を求めて(諒祐3)(2022.12.05)
- 第596夜:津軽こけしの源流を求めて(諒祐2)(2022.12.04)
- 第595夜:津軽こけしの源流を求めて(諒祐1)(2022.12.03)
- 第562夜:盛秀の初期こけし(2022.02.01)
- 第561夜:盛秀の開き目こけし(2022.01.31)
「写し」カテゴリの記事
- 第616夜:「辞典」のこけし(陳野原和紀)(2023.03.29)
- 第615夜:久し振りの是伸展(2023.03.28)
- 第612夜:「辞典」のこけし(菅原敏)(2023.03.15)
- 第610夜:英太郎こけしが大量に…(2)(2023.03.03)
- 第609夜:英太郎こけしが大量に…(1)(2023.03.02)
「全て」カテゴリの記事
- 第616夜:「辞典」のこけし(陳野原和紀)(2023.03.29)
- 第615夜:久し振りの是伸展(2023.03.28)
- 第614夜:松一さんの初期(戦中)こけし(2023.03.24)
- 第613夜:今朝吉の小寸こけし(祝!WBC優勝)(2023.03.22)
- 第612夜:「辞典」のこけし(菅原敏)(2023.03.15)
「初期作」カテゴリの記事
- 第616夜:「辞典」のこけし(陳野原和紀)(2023.03.29)
- 第614夜:松一さんの初期(戦中)こけし(2023.03.24)
- 第611夜:柿崎さんの鳴子型(2023.03.14)
- 第604夜:正吉の初期こけし(2023.01.31)
- 第598夜:宣直さんの復活こけしとその後(2022.12.15)
コメント