第601夜:2023年明け
2023年が明けた。大晦日の昨日は曇り空で初日の出が心配されたが、今日は年明けに相応しい晴天。日が差す前に西方に聳える富士山が紅色に染まり始め、そして待望の初日の出、マンションの彼方から今年最初の光が輝いた。まだ続くコロナ禍にウクライナ戦争、諸物価の高騰など悲観的な昨年を覆す明るい一年になって貰いたいものである。さて、今年最初に紹介するこけし、昨年最後にヤフオクで入手したこけしである。
先ずは恒例の年賀状の紹介から。毎年同じデザインで中央のダルマだけ入れ替えている。今年は大原正吉の起き上がりダルマである。
次に、こちらも恒例の初日の出(上)とモルゲンロートの初富士(下)。初日の出の時間は7時3分であった。
そして、こちらも恒例の自作お節4品。田作り、なます、叩きごぼう、栗きんとん。
昨年最後に入手したこけしはヤフオクに出品されていた4本のこけしであった。奥瀬鉄則2本(1尺1寸5分と1尺)、岡崎斉司(1尺)、遊佐福寿(1尺)である。この4本で落札価は6千円ちょっと。こけしブームの頃を知っている筆者にとっては、何とも安くなったなぁという思いである。福寿のこけしは勘治型であるが、珍しい西田勘治の描彩。同手の作は既に持っていたが、保存が完璧なので入手した次第。
こちらがそのこけしである。大きさは1尺。
鳴子の「高勘」工人が作る勘治型こけしの「原」は高橋勘治が明治時代に作った2本の大寸(1尺1寸5分程)こけしである。これらはその所蔵者の名を冠して「深澤勘治」「西田勘治」と呼ばれている。この2本、殆ど同手のこけしであるが、描彩には若干異なる点がある。最も明確なのは胴模様の添え葉の様式である。
この写真の2本は福寿作で、左が深澤勘治型、右(本作)が西田勘治型の描彩になっている。こうして並べて見ると、その違いは誰の目にも明白であろう。深澤勘治では4つの蕾の両側に大きな添え葉が描かれている。一方、西田勘治では二輪の菱形正面菊の両横に大きな添え葉が左右に描かれているのである。
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あけましておめでとうございます、今年も面白いお話をお願いします。
さて、本夜話にも触れられています「ブーム時のこけしの価格」なのですが、小生がこけし収集(特に古品)に
本腰を入れ始めたのが、丁度低迷期最中の平成10年頃からなので、正直言って、ブーム期の価格が如何程か
ピンと来ない感じがするのですよ。
国恵志堂さんも見たかもしれませんが、去年の10月にテレビの「鑑定団」に肘折のほていやさんのご主人が
収集した「肘折の古品群」が350万円の評価額になりましたが、周助のこけしが120万なのは納得出来たの
ですが、寅之助とか重之助のこけしとか庫治のこけしとかが10万単位とか新兵衛の2尺(くらいかな?)の
晩年のこけしが肘折風とはいえ、30万の評価額とか見ていて「もっと安いんじゃないの?」と思いながら見て
いました。
ところが、11月に鎌倉の「おもと」に行って、その話をすると「それくらいが妥当な価格、昔はそれでも安い
くらいだと」言われまして「そんなもんかなぁ・・」と思ったのですが、やはり、今が安すぎるのですかねぇ・・。
でも、買う方(特に小生の様な安月給のサラリーマン)から見れば、今の価格くらいが丁度ありがたいと
思うのですが、こけし界にとってはやっぱり良くないのでしょうか?、こないだの国恵さんが桜井昭二さんの
西田岩蔵型が激安で落札された時の夜話の事も思い出して感じたのですが、実際のところ、どうなんでしょうね?。
投稿: 益子 高 | 2023年1月 2日 (月) 20時52分
益子 高 様
明けましておめでとうございます!
鑑定団、見ましたよ。
私も、益子さんと全く同意見で、友の会のこけし界ニュースでも話しました。
鑑定士の大熊先生は大分盛ったようですね(笑)
周助は市場に殆ど出て来ないし、出来も良かったので同意もできますが、
他のこけしはあの鑑定額ではとても買い手はつかないでしょう。
「おもと」さんの話もこけしのブームの頃なら、1本数百円も珍しくなかったようですが、
今では、現役の若手の収集家は手を出さないでしょうね。
こけしが安くなったのは、ネットオークションなどの影響が多いのでしょうね。
これにより盛秀系の入手難のこけしが大量に市場に出て来て供給過剰になり、
価格が大暴落しました。買う側からは有難いことで、今は買い手市場です。
良品もいっぱい出ていますから、そういうものを適正な価格で買うのが良いのではないでしょうか…。
好きな工人の良い作が安価で出ていると、既に持っていてもつい買ってしまいます(笑)
今年も良いこけしを入手して、本ブログで紹介していきたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
投稿: 国恵 | 2023年1月 3日 (火) 19時38分
前にも書きましたが、本格的に収集を始めて25年間で僭越ながら戦争終結前の所謂
「古品」もいくばくか集める事が出来ましたが、それもやはり「購入が可能な」価格に
なったからで、第2次ブーム時の0が1つも2つも多い相場時でしたら古品購入の段階には
中々踏み切れなかったとおもいますし、そういった点では価格下落の現状は我々買い手側に
とっては有難いと思いますね。一方、売り手にしてみれば、昔に比べて格段に安くなった現状に
対して「前はもっと高かったのに」と思う気持ちが出るのも、理解できますが・・。
私事で恐縮ですが、最近ヤフオクでひやねさんで出品していた鳴子の秋山忠の尺ものを
落としたのですが、最低価格プラス100円で購入出来たので良かったと思ったのですが、その反面
いくら状態があまり良くないとはいえ、黄鳴子時代の古品が野口博士に100円を足した金額で
落札できるという現実に「もっと高くなってもおかしくないのに」という少し複雑な気持ちになりました。
投稿: 益子 高 | 2023年1月 4日 (水) 20時43分