第617夜:「辞典」のこけし(陳野原和紀2)
昨夜に続いて、陳野原和紀の粂松復元作の紹介である。こちらは「こけし辞典」の口絵写真ではなく、本文中の<陳野原和紀>の項に掲載された写真(3本の内左端のもの)の作である。「原」こけしは、「こけし手帖」30号の鹿間氏の記事「土湯粂松のこけし」の1ページ目に大きく掲載されている粂松こけし(昭和18年1月作・1尺・鹿間氏所蔵)と思われる。口絵写真は和紀復元作の表情である。
こちらがそのこけしである。大きさは9寸9分。「辞典」の作は27.8cmで昭和43年9月と記載されているが「原」は1尺とのことなので、本作は忠実な写しと言ってよいであろう。なお、本作の胴底には鹿間氏の赤の⦿と「68.9.12 現地」との書き込みがある。「原」の写真が鮮明ではなく面描の詳細は分からないが、本作では目(上の瞼)が二重となっておりキリッとした中にも潤いのある魅力的な作品に仕上がっている。
同じ出品者から少し前に入手した粂松型(右:8寸)と並べてみた。こちらは胴底に「68.9.11 現地」と記載されており、左の本作と同時に作っていたものと思われる。右作は左作と胴模様はほぼ同じだが、表情は異なり、カセも赤だけとなっている。この「原」も別にあるのかも知れない。和紀はこの時期、鹿間氏の勧めで色々な粂松型に挑戦をし、後に粂松型の第一人者となったことはよく知られている。
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