第612夜:「辞典」のこけし(菅原敏)
こけしの文献に載っているこけしは、こけし界の先達が選んで掲載されているものであり、注目すべきものが多い。戦前のものであれば数は少なく入手が難しいことが多いが、戦後のものであれば同時期に複数本作られていた可能性が強く、それらを求めることも出来る。最近ではネット上に沢山のこけしが出品され、また高齢の愛好家のこけし終活などから入手の機会は増えてきている。先日、菅原敏のこけしが出品され、「こけし辞典」の掲載品と同手と思われたので参戦して入手することが出来た。今夜はその敏こけしの紹介である。
こちらがそのこけしである。「こけし辞典」の口絵写真<復元こけし(1)>に掲載されている菅原敏の三蔵型(31cm、昭和41年9月)と同手のこけしと思われる。本作には工人の署名は無く、胴底に入手者の鉛筆書きで「菅原敏 41年?」の書き込みがある。作行から見て、辞典掲載品と同時期のものと思われる。「辞典」掲載の現物はkokeshi wiに再掲されており、中屋惣舜蔵三蔵の復元とある。縦長の頭に下瞼がほぼ水平な二側目、上部が繋がった長い垂れ鼻、胴上下には太い2本のロクロ線の間に細い緑線を1本挟み、中央部には三段の重ね菊を描いている。剛直で風格のある秀作である。
手元にある三蔵のこけし(右、5寸)と並べてみた。三蔵作は小寸のためか頭は縦長ではないが、緑のロクロ線の様式など同じである。
改めて、表情を比べてみよう。敏の復元作が三蔵の特徴をよく捉えていることが分かる。その後、敏の三蔵型は次第に三蔵の原から離れて敏の個性が現れてくる。
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