第618夜:津軽こけしの源流を求めて(諒祐4)
今日から4月。3月中旬に開花した桜は、その後の低温にも助けられてこの週末も見ることが出来るのは有難いことである。さて、一時は先行きが心配された津軽系盛秀太郎のこけしは、美津雄さんの次男諒祐さんが製作を始めて希望の光が灯った。美津雄さんの製作も息を吹き返し嬉しいことである。諒祐さんは精力的にこけしを作っている訳ではないが、自身の感性で津軽古作に挑戦しており楽しみである。今夜は昨年末から今年にかけて製作した4足亀型の変化を見てみたい。今回も弘前のA氏ご尽力を頂いた。
こちらがそのこけしである。大きさは5寸。左から2022年10月(第595夜掲載)、中央は2022年末、右は2023年3月である。「原」は天江コレクションの盛秀古作である。3本とも原こけしを忠実に写したものではないことが分かるだろう。盛秀古作を元にして、それを諒祐さんの感性で再現したこけしであり、写しとか復元作とは一味違うものとなっている。諒祐さんのこけしは顎が角張っているものが多いが、中央の作は卵型で胴もスラっとしており、左右の2作とは雰囲気も異なる。特に面描では目が鯨目ではなく、また眼点が小さく上瞼にくっ付いており、上目遣いのユーモラスな表情になっている。さらに個別に3本を比べると、細かい点で違いが見られる。
1)口は、左は墨2筆であるが、右2作は紅が入っている。
2)前髪と横髪の付け根は左2作は斜めにカットされているが、右は直角にカットされている。
3)亀上下の緑のロクロ線のバックの黄色塗りは、左は下のみ、中央は上下両方、右は塗っていない。
このように、諒祐さんは作る度に色々と工夫をしていることが伺われる。今後どのように変わっていくのか目が離せない工人である。
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