第627夜:笹森さんの伊太郎写し(1)
昨夜紹介した伊太郎のこけしを入手したのはちょうど2年前の5/2。その写しを笹森さんにお願いしたのは昨年の3月に入ってからであった。伊太郎のこけしは昨夜の8寸のほかに3寸もあったので、それを入れ子にと考えていたのだが、横挽きなのでこけしの入れ子は作っていないとのこと。結局、単体で作って貰うことになった。頼んだ時点では良い材料がなかったこともあって一年ほどかかってしまった。今夜は、8寸伊太郎写しを紹介したい。口絵写真はその表情である。
こちらがそのこけしである。大きさは原寸通りの8寸である。材料はイタヤ材であるが良いものが少なく、乾燥に時間がかかったとのこと。木地形態、描彩とも「原」に忠実に作ってあるが、原の伊太郎こけしの顔は見れば見るほど、どうしたら良いか分からなくなってしまったとのことで、笹森さんなりに再現したものになっている。原の面描の筆は走ったものではなく木地にも滲んでいて同じように描くのは大変だったと思われる。本作では左眉尻が太くなっているため凛々しい表情になっている。似ているかどうかは別として、原の雰囲気は十分味わえるものになっていると思う。
今回はイタヤ材の他に桜材(左)でも作ってくれたので、原と一緒に並べてみた。桜材は色合いが原と近く良い感じに仕上がっている。木目が強く出ているのが気にならない訳ではないが、それもまた良いではないか…。なお、イタヤ材、桜材はロウをドライヤーで溶かして木地に染みこませてあるとのことで、こうするとロウの艶が余り出ずしっとりとした感じが出るとのことであった。
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