第624夜:佐藤寛次のこけし2
遠刈田系の周治郎系列と言えば、直系の静助-守正はもとより、(小原)直治、直助といった名立たる工人を輩出しており、その兄寅治の息子には護、(大原)正吉の兄弟が居る。護には栄一、寛次、勝洋の3人の息子がおり、いずれもこけしを作っているが、寛次は早くに転業して遠刈田を去ってしまったため残るこけしは少ない。今夜はその寛次のこけしを取り上げてみたい。口絵写真はその表情である。
こちらがそのこけしである。大きさは8寸。胴底には「42.1.14」の書き込みがあるので、41~42年初め頃の作か…。寛次は昭和30年頃から44年に転業するまでが製作期間となるため、本作は終わりに近い頃の作となる。父護より引き継いだ正統派の遠刈田こけしである。
寛次と父護のこけし(左右)を並べてみた。護は戦前から戦後とこけしを作り続け、その変化もかなりあるが、ピークと言われる58歳(昭和36年)の作でも三日月目の湾曲が大きく甘美な表情のもの(右)と湾曲が少ない剛直なイメージのもの(左)が存在する。本作の寛次は更に剛直な雰囲気のこけしとなっている。
第186夜で紹介した6寸の寛次こけし(右)と並べてみた。胴模様は代表的な重ね菊と枝梅であり、この二本で寛次のこけしは十分と言えるだろう。
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