第630夜:善作のこけし(古型)
最近はヤフオクに古品を含めて注目すべきこけしが纏めて出品されている。その内容からして著名なコレクターの蔵品と思われる。その中から、ここ1,2週間で小林善作のこけしを2本入手した。戦前の自身(善作)の作を復元したもので「古型」と呼ばれている。Kokeshi wikiによれば、昭和42,3年頃に多く作られたものとのこと。今夜はその時期の古型について紹介しようと思う。口絵写真は古型の表情である。
この「古型」については、kokeshi wikiに昭和42年の2月と5月に東京こけし友の会で頒布された2本が載っており、その「原」は中屋惣瞬氏蔵の昭和10年の善作こけしだと言う。また「木の花(18号)」の「戦後の佳作」<小林善作>の解説の中で、著者の北村勝史は「古型」に関して『この型は40年8月の旅の折、私が初めて作らせたもので以来、「古型」と称していた。8月20日に送られてきたものが初作と思われる。続いて10月、11月と「ねじめ」で発売されている。初作は余り出来が良くなく、むしろ、41年の作に良いものが多い。』として、41年正月頃の作を「古型」の代表作として写真③に挙げている。
さて、こちらに所蔵の「古型」と思われる作を並べてみた。右から「41年2.10 57才」の底書あり、次の2本はwiki掲載品と同手のもので42年作か、左は「43.2」の書き込みあり。従って、昭和41年から43年頃の作品と思われる。この4本の中で右端は頭が横に角張って胴もやや太目、前髪後ろが青点だけで赤点が無いなどやや違いが見られる。中屋蔵品とは別の原こけしがあるのかも知れない。
但し、4本を並べてみると、表情的には右と右から3番目は目の位置が顔の中央辺りで眼点が大きい。一方で右から2番目と左は目尻が上がって眼点が小さくきつい表情になっている。さらに、前者の2本は重ね菊の最下部に添え葉があるのに対し、後者の2本は添え葉が無いという共通点もある。
頭頂部の様式と底書きである。
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