長い事こけしの蒐集を続けていると、特に力を入れて集めるものが出てくるものである。筆者で言えば勘治型や栄治郎型、太治郎型などがその最たるものである。遠刈田系では直治型をよく集めたが、一筆目の静助型も気になるこけしであった。その創始者である佐藤静助は大正時代から木地挽きを行っていたが、その頃のこけしは発見されていない。昭和13年3月に福島県の曾根田(殿田)で独立開業し、高久田修司氏、深沢要氏の要請によりこけしを作り始めたが、翌14年2月に他界したため残るこけしは少ない。甥の照雄もこの時に一緒にこけしを作り始めたという。今夜は照雄の初期と思われるこけしを紹介しよう。口絵写真はその表情である。
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