第636夜:高瀬善治のこけし(初期2)
高瀬善治のこけしについては、千夜一夜1の第757夜と828夜にて、また千夜一夜2の第127夜で紹介している。特に828夜ではその初期こけしについて触れている。筆者は善治のこけしが好きなので機会があれば集めているが、今回のこけしは保存が良い上に幾つか気になる点が見受けられたので入手した次第である。今夜はそのこけしを紹介しよう。口絵写真は表情である。
こちらがそのこけしである。大きさは8寸2分。頭は縦長で頭頂部がやや平たくなっている。胴は肩部に低い段があり角は丸めてある。胴中は大きく括れ、胴裾にかけては広がっている。善治のこけしは肩の山と裾の畳付きの部分に赤いロクロ線が引かれているのが普通で、本作のように全くロクロ線が無い白胴は初めて見た。鳴子系のこけしでは6寸以下では胴にロクロ線の無い白胴はよくあるが、本作は8寸超であり珍しい。胴模様は括れの部分に大きな丸い牡丹が描かれており、その上部に丸い蕾、下部に緑の茎葉を添えている。善治こけしの胴模様には牡丹がよく描かれるが、花は横長で上部に描かれ蕾と茎葉は下に描かれるのが普通であり、本作の牡丹の様式も殆ど見かけない。また、善治の古作では緑色の退色が多く、本作のように鮮やかに残っているのは貴重である。このように保存が良いこともあって善治の古作としては第一級と言えるだろう。
第828夜で紹介した善治の初期作(右:昭和10年頃)と並べてみた。善治の初期作は頭が丸くオカッパであり肩の山は低いのが多いが、それと比べると後年作のように頭頂部が平たくなっており、やや後の作であろうか…。
表情を比べてみよう。細い描線で大らかに描かれた眉・目・鼻はほぼ同じ、赤い口と二重顎も同じであり、ほぼ同時期の作品とも思える。整った凛々しい表情からは品格さえ感じられる。そんなことから製作時期は一応昭和12年前後としておこう…。
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