第658夜:友の会で入手のこけし(菅原庄七)
友の会の例会頒布では、受付の順番を元にした「一般頒布」(新品こけし、中古こけし)の他、珍しいこけしや入手難のこけしが中心の「抽選頒布」、また戦前作や人気の高いこけしを集めた「入札」の三種類が用意されている。各頒布の内容は前回(657夜)を参照されたい。11月例会の入札品には大野栄治と菅原庄七の2本の大物が存在感を発揮して鎮座していた。今夜は運良く入手できた菅原庄七のこけしを紹介しよう。
こけし界の中で、「美人こけし」として通っている菅原庄七のこけしは戦前作から戦後のものまで、かなりのこけしが残っている。中でも各種文献で紹介されている故鹿間氏旧蔵の大寸物(昭和初期)は脳裏に焼き付いている。大正期から昭和初期にピークを迎える庄七のこけしは昭和10年頃まで高いレベルで安定した作となっている。
こちらが今回入手のこけし。大きさは9寸5分。胴底に「13年10月」の記載がある。やや横広気味の大きな頭が素晴らしい。平筆で描かれた大きな前髪と太い鬢が面描を囲む。眉・二側目・鼻の描線が良く伸びて、おおらかで気品のある表情となっている。最盛期の余韻をしっかり残している。15年以降になると、左眉の下がりが見られるようになり、表情も弱くなってしまう。
第433夜で紹介した昭和9年頃の作(右:6寸7分)と並べてみた。
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