第651夜:敏の初期作
昨夜に引き続き、初期作の話をしよう。今夜は秋保の菅原敏のこけしである。敏は庄七の後継者として、戦後の秋保こけしを支えていた重要工人であった。本作は昨夜の庫治と同時期に入手したもので、大きさも同じ5寸。初期作らしい初々しさを持った2本を並べてみると、ほのぼのとした愛らしさに心が和む。口絵写真は、その表情である。
こちらが、そのこけしである。大きさは5寸。胴底は鋸の切りっ放しで、「久松」の印を墨で隠した痕跡が見える。また同じ墨で「昭32.5 初作 十九才」と書かれている。久松旧蔵品でkokeshi wikiに掲載の橋本正明氏蔵品と同時期のものであろう。当時の庄七のこけしに倣った作と思われる。面描の筆致は細く、慎重に丁寧に描いていることが伺われる。
少し後の作(右:8寸、昭和34年)と並べてみた。2年程で描彩もすっかり手慣れており、自信に満ちたこけしになっているのが分かる。胴裏の菖蒲模様の有無のほか、頭部では放射状に描かれた手絡の後ろ1本が、本作ではくねっており、また手絡下の三山模様が描かれていないなど、未消化な部分も見られる。
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