第649夜:陽子さんの4足亀こけし
盛秀太郎の戦前古作こけしには色々な模様のものが残っているが、中でも円盤から4本の足が伸びているような模様(通称4足亀)はよく知られている。この4足亀の代表は『こけし這子』に掲載されている7寸4分のこけしであろう。そして、この4足亀は、盛美津雄、奥瀬一家(鉄則、陽子、恵介)が復元を行っている。今夜は、奥瀬陽子さんの4足亀を見てみよう。口絵写真は4足亀の表情である。
陽子さんの4足亀を改めて取り上げたのは、陽子さんの4足亀には他の工人作には見られない様式のものがあったからである。
こちら、共に6寸の4足亀で、左は平成10.2.11作(制作No526)、右は平成17.2.4作。左はよく見かける『こけし這子』の4足亀であるが、右は胴の形態が異なりロクロ線も異なっている。このような4足亀は鉄則作では見たことがなく、陽子さんが勝手に考えて作ったとも思えないので、「原」になる盛秀の4足亀があるのかも知れない。
陽子さんの4足亀を「盛秀一家のこけし辞典(2)」で探してみると、制作No101(平成7年)に作例があり、かなり早い時期から作っていたことが分かる。その後も継続的に作られたようであるが、右のような様式の4足亀は見当たらない。
以前、大正期の極美こけしが大量にヤフオクに出品された時に、盛秀のこけしも入っており、その中に4足亀が3点、2足亀が2点入っていた。それを以下に示す。4足亀①、4足亀②、2足亀。右の陽子こけしと同様のロクロ線のものはないが、胴の括れが少なくスマートな形態はよく似ている。
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