第669夜:津軽こけしの源流を求めて(諒祐6)
今年もあと1日で終わりを迎えることになる。新型コロナが5類となったことで世の中もコロナ前の賑わいを戻しつつあるようだ。こけしに関するイベントもその多くが多少の制限はあるにせよ、以前と同じように開かれるようになった。今年の本ブログは切りの良い601夜から始まったが更新はままならず、ここ数日の追い込みで何とか69夜を追加して終了ということになった。来年は年間100夜を目指して頑張っていきたいものである。さて、今年最後は津軽系の盛諒祐さんを取り上げたいと思う。盛秀こけしの直系継承者として期待されている諒祐さんであるが、製作数は少なく現在最も入手困難な工人と言えるかもしれない。今夜は12月作の有名な盛秀古作の型を取り上げてみたい。今回もご尽力頂いた弘前のA氏に感謝である。
名古屋こけし会の「木でこ」最新号(251号)には、本年作の諒祐こけしが8本(他にダルマ2個)載っている。これを見ると、諒祐さんは盛秀型のみならず、種々のこけしに挑戦していることが分かる。さて、今夜紹介するのは天江コレクションにあるロクロ模様のこけし(「這子の話」160番)である。
こちらがそのこけし。大きさは5寸。「原」こけしは4寸6分なのでほぼ同じ大きさと云って良いだろう。木地はまだ手慣れた感じはなく粗削りであるが、津軽の古作であればそれも不自然には感じられない。頭は下膨れの逆おむすび形で小さく、「原」とは異なっているが、これはこれで面白い。胴は裾部のカーブが「原」とは逆になっている。胴の四分の三がロクロ線なので描彩の出来は評価し難いが、ロクロ線の滲みは好ましい。頭の描彩では前髪が一直線で毛描きが無くオカッパの横髪が二段になっているのは興味深い。面描は横髪が短く、眉・目は上に寄っている。楕円形の目の天辺に眼点があるため視線は上を向いている。漫画チックな表情で面白い。
恵介さん(中央)、陽子さん(右)の同寸のこけしと並べてみた。恵介さんは陽子さんを継いだので木地形態はほぼ同じで頭は丸くやや太目である。同じ型のこけしでも三者三様で、特に表情の違いは大きい。特に同じ奥瀬家でも、陽子さんは洗練された愛らしいこけしを目指したが、恵介さんは真逆で怪奇さを追求したようにも見える。今後、諒祐さんのこけしがどのように変わっていくのか期待したい。
今年一年間、本ブログを見て頂き、ありがとうございました。
来年も、よろしくお願いいたします。
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今年も色々なお話をありがとうございました。
来年も面白い話を期待しています、それでは、よいお年を・・。
投稿: 益子 高 | 2023年12月31日 (日) 13時51分
益子 高 様
一年間、お付き合い頂き、ありがとうございました。
来年は、何かお役に立てるような話ができたらと思っています。
よろしくお願いいたします。
投稿: 国恵 | 2023年12月31日 (日) 17時28分