第665夜:好秋のこけし(戦前作)2
今年も残すところ一週間を切ってしまった。12月は友の会の例会・報告会、長谷川正司さん訪問、また後半は歯の治療と慌ただしく時間が過ぎてしまった。この間、ヤフオクには興味深いこけしも出品されており、入手したものの本ブログに掲載しないままのものが溜っている。それらを順次、紹介していこう。今夜は、佐藤好秋のこけしである。好秋は遠刈田系の名工松之進の次男であるが、そのこけし(特に戦後作)は今一つ魅力に乏しいと感じてしまう。今回の作は戦前のこけしである。
好秋の戦前のこけしは既に1本持っており、千夜一夜(1)の第659夜で取り上げている。二側目のそのこけしは表情がやや弱く、戦前の代表作とは言い難い。一方、今回のこけしは一側目であるが表情強く、戦前の代表作と言っても良い出来栄えである。
こちらがそのこけしである。大きさは6寸5分。ヤフオクの出品者のコメントでは「旧溝口コレクション」とある。kokeshi wikiには、昭和14年の溝口旧蔵品(二側目)が載っており、本作もほぼ同時期の作と思われる。wikiには昭和14年の一側目の中屋旧蔵品も載っており、こちらは胴模様も含めて本作とほぼ同じ作行である。
第659夜のこけし(右)と並べてみた。頭は本作の方がやや角張っているが、木地形態はほぼ同じ。一番の違いは面描、特に眉と目の描彩である。本作は眉・目の描線が湾曲が大きく筆致に勢いが感じられる。また眼点が大きく、左目は上瞼からはみ出しそうである。そのため表情には張りがあり元気で溌溂とした童女を思わせる。一方、右こけしは眉・目の描線が水平で勢いがなく、おとなしい表情になってしまっている。「愛玩鼓楽」には昭和14年作の二側目1本と一側目3本が載っているが、一側目こけしは本作と同様に生き生きとした表情になっている。好秋の戦前作では一側目の方が出来が良いと思われる。なお、wikiには一側目の戦後の復元作が載っているが、戦前作には及ばないようだ。
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