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第676夜:元日の落穂拾い(清次郎)

Sejiro_yukionna_kao ヤフオクは一年中休み無しにやっているので正月元日に締め切りを迎えるものもある。基本的には一年中暇人の筆者は、元日からヤフオクを覗くことになる。年末から出品されているこけしの中に気になる一品があった。山形系の小林清次郎のこけしである。出品解説には「雪女・吉太郎型」とある。清次郎のこけしは好きなので「雪女」は知っていたが、出品作は保存状態も良い上に出品価は何と500円。かなりの争奪戦が予想されたが、締切1時間前になっても応札者がいない。この手の清次郎を探していた同人のKさんにメールしてみると、ウォッチしているというので入札を勧める。結局他に応札者は無く、出品価でKさんが落札。それを借りたので、今年最初のこけしとして紹介しよう。

清次郎の「雪女」と称されるこけしは1本持っており、それは千夜一夜(1)の第96夜で紹介した。そこでも触れているが「雪女」と同手の清次郎こけしは沢山作られているが、真の「雪女」は昭和41年に作られた朴材のもので10本程しかないと云う。出来ればその「雪女」が欲しいが、ひやねの入札で一度見かけた以外に見た事がない。

Sejiro_yukionna_2men

こちらが今回の「雪女」である。大きさは1尺4分、朴材である。署名には「吉太郎型」と記されている。製作時期は分からないが、胴底に鉛筆で「40」の書き込みがあり、あるいは初期の昭和40年か…。目・鼻の描彩が薄墨では無いことから真の「雪女」ではないが、それに近い作と言えるだろう。下瞼が小さく、上品で優しい微笑みが素晴らしい。数ある「雪女」の中でも上の部類に入るのではないだろうか…。

Sejiro_yukionna_hikaku

Sejiro_yukionna_syomei_hikaku

第96夜で紹介した手持ちの「雪女」(右:昭和45年)と並べてみた。右作は「雪女」とは言うものの、初作からかなりの年月が経っているために比べてみるとかなり変化していることが分かる。筆者としては、右作の表情が好きで捨てがたい大事な1本となっている。

第96夜で話題となった「雪女」(昭和42年2月)はヤフオクで3万円を超えたのに、本作は出品者が「雪女」と明示したにも拘わらず、僅か500円で一人しか入札に参加しなかったのが不思議である。正月という事でヤフオクを見る人が少なかったためであろうか…。もはや「雪女」に誰も関心を持たなくなったのであろうか…。良品が安価に入手出来るのは嬉しいことではあるが、一方で寂しい気もあり複雑な心境である。

 

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