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第705夜:義一さんのソニー達磨

Yoshikazu_sony_daruma_kao 6月から7月にかけて種々多忙を極め、本ブログの更新もすっかり滞ってしまった。この間、覗きに来て下さっていた皆様には申し訳ありませんでした。それらの問題も一段落したので、更新を再開いたします。先日のヤフオクに見慣れた達磨が出品されていた。一目でソニー頒布の福寿達磨と思ったが、出品説明には「高橋義一ダルマ」とある。ダルマの胴底の署名も「義一」とあり、手元で見てみたく入手した。今夜はそのダルマの紹介である。

ソニーファミリークラブがこけしの名工10人のダルマ「達磨十聚」の頒布を開始したのは平成10年のこと、先に頒布したこけしが大好評で何回も追加頒布を行った後、二匹目のドジョウを狙ってのことだったかも知れない。こけしの頒布でもメンバーに名を連ねていた鳴子の遊佐福寿さんはこのダルマの頒布に入っており、こちらも好評で多忙を極めていた。何回かの追加頒布の最中、平成13年1月に福寿さんは過労により急逝してしまった。亡くなる一か月前に工房を訪ねた折、制作中のダルマが沢山並んでいた。10点組で頒布していたソニーファミリークラブにとっては思いもかけないことであり、その後任に義一さんが選ばれたのであろう。その後、こけし頒布のメンバーに義一さんが入っていたのは知っていたが、その作るこけしは福寿作とは異なるものであり、このダルマにおいても福寿作とは別物と思っていた。そのため、福寿作と全く同様のダルマが作られていたことは今回初めて知ったのである。

Yoshikazu_sony_daruma_hikaku

さて、こちら右が今回の義一ダルマで左が福寿ダルマである。こうして並べてみると、形や細部に違いがあることが分かるが、義一ダルマを単体で見ているとその違いを見つけることは難しく、署名が無ければ福寿ダルマと思ってしまうだろう。形態的には、福寿ダルマが角張っているのに対して義一ダルマは丸くなっているのが見てとれる。筆者は義一さんに盛の古作の写しを何点か作って貰ったが、その出来栄えの素晴らしさに驚かされた。この福寿ダルマも見事の一言である。

福寿さんに聞いた話では、ソニー頒布のこけしやダルマはその品質の管理が厳しく、滲みや色合いも厳しくチェックされて返品も多々あったそうだ。ダルマでは髭の墨の濃さまで指摘があり、均一に描かれていないと受理されなかったそうだ。こうして並べてみると福寿作はほぼ均一で揃っているが、義一作では均一性にやや乱れも見られる。

Yoshikazu_sony_daruma_hikaku_yoko Yoshikazu_sony_daruma_hikaku_syomei

横から見たところと署名である。耳の部分の髭の描き方にやや違いが見られること、そして赤で塗られた部分が福寿作ではこちらも均一であるのに対して、義一作ではやや塗りむらで見られるなど、福寿作での完成度の高さが素晴らしい。

 

 

 

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