第715夜:太治郎か…?(祝! 大谷50-50達成!)
今日20日は野球界にとって記念すべき1日となった。大谷選手がMLBで初の50-50(ホームラン50本、盗塁50個)を達成したのである。しかも6打数6安打、3連続ホームラン、10打点、2盗塁という驚愕な成績であった。さて、太治郎型こけしを纏めるために手持ちの太治郎型こけしを取り出して整理していたところ、一本のこけしが出てきた。見たところ太治郎大正期のこけしである。ところが入手の経緯が思い浮かばない。恐らく、これ一本での入手ではなく、纏めて入手した中に入っていたのであろう。弘道の太治郎写しと思っていたのであろう。ところが、このこけしをじっくり見ていて、どうも弘道作では無い可能性が出てきたのである。今夜は、その辺りの話をしてみたいと思う。
こちらがそのこけしである。大きさは6寸。有色材(さくら?)で作られている。「本型」と言われる胴模様であるが、その様式から大正期の太治郎を思わせる。佐藤正一のこの様式のこけしは見た事がなく、太治郎のこけしか弘道が昭和42年に作った大正期の太治郎写しが考えられる。本作は保存状態も良く長い年月を経過したものとも思えなかったので、てっきり弘道の写しと思い込んでいた。
その弘道写しに疑問をもったのは、胴底を見てからである。関係するこけしを並べてみた。左から太治郎(大正期)、本作、弘道の写し(42.3月)、同(42.9月)である。そして、その4本の胴底である。御覧の通り、本作の胴底は左の太治郎と同じく鋸の切り放しで署名なども一切ないのである。右2本の弘道による太治郎写しは胴底が鉋で整形され弘道の署名も入っている。弘道がより太治郎に近ずけるために胴底を整形せず署名もしないものを作ったということも考えられなくはないが…。弘道に聞いてみるのが一番であるが、高齢の弘道さんにはそれも難しい状況のようだ。
そこで、表情を比べてみることにする。写真上の左が太治郎、右が本作、写真下が弘道2本である。弘道写しは巧みに作られており判別も難しいが、眉の筆力や目の描き方にやや違いが見られるようだ。筆者が本作について一つ気になったのは、本作の右目の下瞼が長い点である。この点では、本作と弘道の左作は似ている。大正期の太治郎の目では見かけない。次に鬢を比べてみると上2本(太治郎、本作)と下2本(弘道写し)とでは描き出しの位置などに明確な違いが見られる。
そして、「こけしの美」を見ていると、70頁の真ん中の太治郎の目に下瞼の長い作が載っているのを見つけた。こちら(左)が「こけしの美」の太治郎、右が本作。こうして比べるとこの2本の面描は非常に良く似ているのが分かる。以上のことから、本作が太治郎(大正期)の作である可能性は非常に高いと推測される。
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