第717夜:木の実さんの石蔵型
二週間程前、ヤフオクに阿部木の実さんの石蔵型こけしが出品されていた。多才な木の実さんは幅広い作品を作っているが、伝統を超越したものも多く、国恵志堂には縁遠いものであった。そんな中にあって今回の石蔵型は純粋な伝統こけしであり気になっていた。それは所蔵の石蔵こけしとよく似た形・描彩であったからである。一緒に並べて見てみたい想いにかられ入札に参加し、入手することができた。口絵写真は木の実石蔵の表情である。
こちらがそのこけしである。大きさは1尺。やや細身の胴で、一面の細かい花模様に太めの帯を締め、ロー引きはされていない。
手持ちの石蔵(左:第268夜参照)と並べてみた。まるで左の石蔵こけしを元に、それを写したように良く似たこけしである。形態的には大きさは同じ1尺であるが、本作は石蔵より頭がやや長く頭頂部が丸い。また肩の丸みが大きく、胴も石蔵に比べると丸く若干太目になっている。胴模様の様式も殆ど一緒と言ってよいが、石蔵作の方がより緻密に描かれている。表情も良く似ているが、本作の方が顔の面積がやや広く年長の表情にも見える。一方で着物の襟の合わせ目は石蔵の方が下がっていて色香を感じさせる。
両者の裏側である。共に裏模様は描かれていないが、本作では頭の裏側にツン毛が描かれている。
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