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第723夜:高橋林平のこけし(2)

Rrinpei_maru_kao ここの所、ヤフオクでは遠刈田系の古品が頻繁に出回るようになり気に掛けていた。遠刈田の戦前の工人の中でも作品数が少ない高橋林平のこけしは既に1本持っており、それは第30夜で紹介している。先日ヤフオクに出ていた林平こけしは手持ちの林平とは雰囲気の異なるものであり、2本並べて見比べたくなり入札に参加して入手することができた。今夜はそのこけしを紹介しよう。

Rrinpei_maru_2men

こちらがその林平こけしである。大きさは7寸。頭はやや縦長の丸頭であり、肩はかなり張っていて頭としっかり繋がっている。面描は筆致細く硬筆で目が中央に寄っていてきつめの表情である。胴模様はロクロ線の無い三段の重ね菊で、首下には赤線と細い緑線で簡素な襟が描かれている。第30夜では、林平のこけしには角頭でおっとりした表情のものと、丸頭できつい表情のものの二種類があると述べているが、30夜の作は角頭タイプ、本作は丸頭タイプということになるのだろう。

Rrinpei_maru_hikaku  

比較のために両者を並べてみた。左が30夜の林平で、右が今回の林平。木地形態では、頭の形と肩の張り具合に違いがあるようだ。

Rrinpei_maru_kao_hikaku Rrinpei_maru_atama_hikaku

両者の頭部の描彩について更に比べてみよう。面描では、左作が柔らかい筆致、右作が硬い筆致と言えるだろう。頭頂部の様式も異なっている。左作では前髪の後ろに赤点と緑点の二つがあり、そこから放射状に手絡が伸びている。この様式は小原直治に代表される青根の古い様式である。一方、右作は前髪の後ろに赤点が1つで周りには緑の縁飾りが付いていて遠刈田の一般的な様式になっている。林平の戦前作は昭和17年の僅か1年間のものしか知られておらず、その中に2タイプのこけしが存在するのは興味深い。その雰囲気からは、右作から左作に変化したようにも思えるのだが、頭頂部の手絡様式は逆のような気もする…。

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