第735夜:新山久志の戦前作
一週間程前、ヤフオクを眺めていると新山久志のタイトルで1本のこけしが出品されていた。良く知っている久志のこけしとは感じが異なるものであったが、その表情(特に目)には見覚えがあり久志の戦前作だと直感した。久志の戦前作は文献等でもあまり紹介されていないが、久志ラブの青柳英介氏の「ほっぽコレクション図譜」にはその表紙に3本が掲載されている。今夜は、久志の戦前こけしを紹介しょう。口絵写真は、今回の久志の表情である。
新山久志は昭和5年に尋常小学校を卒業し、父久治について木地修業を始めた。こけしも作っていたが昭和10年12月に応召された。13年11月に除隊し帰郷して木地業に戻ったが、16年7月に再応召を受け、そのまま終戦を迎えている。従って、久志の戦前のこけしは昭和5年から10年の前期と昭和13年から16年の後期のものとなる。wikiには戦前のこけしが載っており、写真右が前期の昭和8年、左が後期の昭和14年である。太目の木地にロクロ線の胴模様、可憐な瞳があどけない。いずれも鼻は猫鼻になっている。
こちらは「ぽっぽコレクション図譜」の表紙で、昭和15年作の3本。中央が1尺2分。鼻が撥鼻に近くなっている。
こちらが今回入手のこけし。大きさは6寸9分。頬がこけて頭が丸くなっている。瞳は大き目で手慣れた感じ、目・鼻・口が中央に寄って集中度が強いがあどけなさは残っている。鼻は撥型がはっきりしている。
第110夜で紹介した戦前作(右)と並べてみた。表情はよく似ており、特に鼻の形はほぼ同じで、2本とも昭和15年から16年頃のものか…。
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