第731夜:2025年初入手の古品(宮本永吉)
年明け早々の2日夕刻、ヤフオクに如何にも古そうなこけしが出てきた。1出品3本ずつで、3出品で計9本であった。締切は6日となっており、じっくり検討する時間はあった。出品作はかなり黒くなっているものもあり、保存状態はあまり良くなかったが、中には気になるものもあった。それは宮本永吉と渡辺キンのこけしであり、いずれも持っていないものであった。この2本は別々の組に入っていたが、高額になると思われたので最終的には永吉1本に絞って入札に臨んだ。途中からは二人のマッチレースとなり、新年早々のご祝儀相場での落札となった。今夜はその永吉のこけしを紹介しよう。
宮本永吉のこけしは人気があり、入手難のこけしである。筆者も関心は持っていたが良品に出会う機会がなく、また昭和になって目が大きく楷書体風になったものには触手が伸びなかった。今回の出品作は見るからに古そうな様式であり、相当黒くなってはいたが十分に希望を満たすものであった。
永吉は明治13年10月の生まれ、惣七の長男である。木地技術は父惣七に習い、親子で木地業に従事し、こけしも作っていたが、惣七は大正8年に亡くなった。永吉がこけし界に知られたのは昭和5年からで10年代にはかなりの数を作ったようである。永吉の一人息子は幼少で亡くなり、弟子もとらなかったので直接の後継者はいない。昭和26年9月21日逝去。72歳。
永吉のこけしは惣七から継承したもので、大正期のものは木地形態・描彩とも良く似ている。但し、胴模様は惣七が「玉葱状の菊」を描いたのに対し、永吉は「熊手状の菊」を描いている。また、永吉は頭頂部の水引を点状に並べて描いており、菊の花弁数と水引の赤点の配置が年代判定の目安となっている。(kokeshi wikiより)
こちらが今回入手の永吉こけしである。大きさは6寸4分。胴底の張り紙から米浪氏の旧蔵品と思われる。wiki掲載の大正期の永吉と比べてみよう。wiki掲載品(西田記念館)はホウノキで作られ肩が低い木地形態であるが、本作はホウノキではなく、肩も高くなっている。胴の菊は縦に3つ並びその左下にやや小さめの菊が1つ加わる。これはwikiのものと同じである。熊手状の花弁は7つであり、また頭頂部の水引(赤点)は2、3,2の7つである。このことから、本作は大正期の作と推測される。
表情を見てみよう。小さな眉と目は接近しているが、左右には離れているため素朴で鄙びた風情が感じられる。西田記念館の永吉とほぼ同じ表情である。瞼が上下に膨らんだ小さな二側目は、キョトンとした幼子の無邪気な顔である。赤い大きな口が微笑ましい。現在のこけしや永吉作でも昭和10年代に入ってからのものとは全く異なる雰囲気のものであり、正にこけしの原点を見ているようである。新年早々、良いこけしを入手できたことに感謝したい。
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