第756夜:長次郎最晩年作
先日のヤフオクに岡崎長次郎の昭和29年(77才)と書かれたこけしが出品されていた。長次郎は29年11月7日に亡くなっており、正に最晩年の作と云うことになる。梅木修一さんの作品を纏めた本を作るにあたり、岡長のこけしは色々調べてことから関心を持っており、参戦した。運よく入手したこけしが届いたので紹介しよう。口絵写真はその表情である。
筆者がこのこけしに興味を持ったのは、梅木修一さんが岡長型を始めるにあたり、最初に手本にしたのが蔵王温泉に残っていた岡長晩年(昭和28年)のこけしであったからである。梅木さんは昭和51年の7月に病床のしばたはじめ氏を訪ね、岡長型製作を認めてもらい、長次郎のお孫さんからも許可を貰って製作を始めたのである。その最初期のこけしは11月に下井草の「おおき」民芸店で販売され、筆者も手にすることができた。
こちらが、今回の岡長こけしである。大きさは7寸、胴底の書き込みから昭和29年、77才、亡くなった年のこけしであること分かる。木地は弟子の矢口権佐久で、29年の秋には100本程に描彩を行ったというから、その時のこけしと思われる。小振りの目・鼻が中央に寄ってちまちました感じであるが、保存が良いこともあって岡長らしさが溢れている良作だと思う。
さて、梅木修一さんのこけし(右、6寸8分)と並べてみた。大きさが2分程違い、頭は梅木作の方がやや大きいが、修一さんが手本にした28年の岡長こけしはそうなっていたのだろう。胴の崩れ桜の模様はほぼ忠実に描かれているようだが、頭の描彩には異なる点もみられ、これは28年と29年の違いなのかも知れない。先ず、頭頂部の赤い手絡は岡長は左右4筆ずつで鬢飾りは3筆であるが、梅木作では手絡は5筆、鬢飾りは4筆と1筆ずつ多くなっている。また鬢は岡長は一筆のようにぼってりと描かれてるが、梅木作では細い4筆を並べている。前髪は岡長は2筆で振分け髪にしているが、梅木作では6筆で横並びになっている。真ん中で繋がりそうな長い眉、目尻の下がった二側目、上が離れた割れ鼻、斜めに打った2筆の紅口は岡長の特徴をよく写している。岡長の表情には枯淡さが、梅木作には若々しさが見られるのは年齢の差であろうか…。
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