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第762夜:庄七を求めて

Syo7_syosyo_yokokao 昨夜に続き今夜も庄七こけしの話である。ある工人のこけしが気に入ると、更に良いこけしが欲しくなる。その工人が戦前の工人であれば古品にも目が行く。そして多くの場合、時期を遡れば遡る程良い物が多いようである。一般的には、古いものほど数が少なく、また価格も高くなる。こけしの世界に嵌れば嵌る程、そこでの戦いは厳しいが、そうして入手した満足感とそれから受ける感動は計り知れないのも事実である。今夜の庄七もそうしたものの一本である。

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こちらがそのこけしである。米浪旧蔵品で大きさは6寸6分、昨夜紹介のネコ目の庄七とほぼ同じ大きさである。このこけし、実は2023年の12月にヤフオクで入手したものである。何らかの事情で本ブログでの紹介を逃してしまったらしい。

さて、こけし界の中でも「美人こけし」として名高い庄七こけしの中でも、先ず一番に頭に浮かぶのは鹿間時夫氏が愛して止まなかったという1尺3寸弱で昭和初期のものである。この手のものは、Kokeshi wikiによれば、他に鳴子ホテル蔵の1尺2寸(大正12年頃)や天江コレクションの9寸弱(大正末期)があるようだ。いずれも頭が大きく、胴は細い。前髪が長く、鬢は中央に寄っており、「満艦飾」と呼ばれる緻密な赤い手絡線が正面から良く見える。顔の面積が狭いため左右の眉と目は中央に寄り、細く長い二側目は格調高く、得も言われぬ微笑みを湛えている。正に羨望のこけしと言って良いであろう。

では、今回のこけしはどうであろうか…。「木の花(20号)」では連載覚書(19)で庄七こけしが取り上げられているのでそれを見てみよう。その①のこけし、7寸5分(久松蔵)と良く似ている。木の花の解説を引用しよう。『「こけし這子の話』図版掲載の大寸物とまったく同趣同手で、大正末の作品。前髪・横びんの量が多く、一本一本普通の筆で引いており、この特徴は昭和10年まで続く。以降、前髪・横びんは平筆で描かれるため、一つの年代チェックポイントである。もう一つのポイントはやはり昭和10年頃までの作は、胴底の円周に必ず面取りがあることである。また底はまわしびきで仕上げられておらず、裏のアヤメは横広がりで丈が短いのは初期の特徴の一つである。頭頂は緑の乙が書かれており、頭の裏は三ツ山である。面描は目尻が比較的水平で、せまるような迫力はないが、落ち着きを持った優品であることは疑いない。』

以下、昭和10年頃の庄七(左)と比べてみよう…

Syo7_syosyo_kao_hikaku Syo7_syosyo_atama_hikaku

左写真は面描の比較。筆は左作も平筆ではなく普通筆と思われるが平筆のような描き方になっている。本作(右)では眉・目・鼻の描線が細く、筆致が鋭い。眉と目の湾曲は少なく、殆ど重なるように描かれた両瞼の間に細い眼点が描かれて、静かだが鋭い視線を送っている。鼻も短めで赤2筆の口が描かれる。
右写真は頭頂部の描彩の比較。左作では二股に分かれた前髪が長く頭頂部にまで達し、そこから放射状の手絡が伸び、後方に乙字が描かれる。本作では前髪ははっきり二股にはなっておらず、頭頂部には赤点があり、そこから手絡が放射状に延び、緑の乙字が後方に描かれる。

Syo7_syosyo_hikaku Syo7_syosyo_soko_hikaku

左写真は全体像の比較。木地形態と胴模様の描彩には大きな違いはないようである。
右写真は胴底の比較。左作では胴底円周の面取りは顕著には見られず、底部はスベスベに成形されている。本作でははっきりと面取りがなされており、底も鋸の切り離しになっている。大きさのせいか、双方とも胴裏には何も描かれていない。

こうして見ると、本作は「木の花」の①と同手と思われ、大正期までは遡らないとしても昭和一桁台の早い時期と思われる。る。「木の花」との違いは胴裏にアヤメ模様が描かれていないことと頭部の裏に三ツ山がないことであるが、これは大きさによるものと考えられる。

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