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第759夜:久し振りの秋保

2506akiu_kei_kokeshi 6/26(木)から一泊二日で秋保温泉に行ってきた。秋保には13年程前に一度車で連れて行って貰ったことがあったが、その時は秋保の湯には浸かっておらず、今回は温泉も目的であった。また今年の1月に鈴木敬さんが友の会正月例会の招待工人として出席した際、話題となった高野幸八のこけしを見せて貰うのも目的の一つであった。口絵写真は入手した敬さんのこけしの表情。

雨が心配された初日は松島で遊覧船を楽しみ、夕刻に秋保温泉に入った。今回の宿は「TAOYA」である。包み込むような泉質の湯船に浸かり、山海の珍味を食して一晩を過ごした。翌日は梅雨明けを思わせる好天の中、温泉街を散策しながら路線バスで「秋保工芸の里」に向かった。降り立った里には観光客などは他に見られず、照り付ける日差しの中、数軒の工房・家屋が以前と変わらぬ風情で並んでいた(前回訪問はこちら)。

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早速、鈴木敬さんのお店「玩愚庵」を訪ねる。お父さんの明さんは出掛けられており、お会いすることは出来なかった。上の写真は左が店内の様子、右は敬さんのこけし。下の写真は左が敬さんとのツーショット、右は明さんのこけし。

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こちらはお店で入手した敬さんのこけし(写真右)。大きさは1尺1寸。帰宅してから図録等で胞吉こけしを調べてみると、久松旧蔵の1尺1寸8分(<こけしの美><こけしの世界><木の花(第7号)>に掲載)を写したものと思われる(写真左)。大きさ、木地形態など忠実に写したものではないが、描彩などに共通する部分が多い。人間の唇を思わせる二筆の口など魅力的である。

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さて、こちらが高野幸八のこけしで敬さんが宮城県のリサイクルショップで入手したもので、鶴岡の漁師の旧家の倉庫から出たものとのこと。赤と紫のロクロ模様で有名な米浪蔵の幸八と大きさはほぼ同じ19㎝であるが、米浪蔵より胴は細く中反りもあって全体的にシャープな感じである。頭は米浪幸八が頬の張った蕪形なのに対し、敬幸八は縦長で頬は狭まっている。胴下部には鉋溝が1本入っている。肩の山は低いが、米浪幸八よりはやや盛り上がっている。描彩については、米浪幸八の頭頂部には髷が描かれているが、敬幸八は髷ではなく土湯系の蛇の目のようなものが見える。しかし、これも木地が黒くなったものなのかは定かではないようだ。鬢は米浪幸八が3筆描きで後ろに赤い鬢飾りが長く垂れているが、敬幸八は1筆描きの鬢で鬢飾りも上部のみで小さい。面描の筆致は米浪幸八は細く面相筆で丁寧に描かれているが、敬幸八は普通の筆でサラッと描いたようだ。こうしてみると、米浪幸八は作りが丁寧であり特注品なのかも知れないが、敬幸八は店売りで普通に作っていたものと言えるかも知れない。

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帰りのバスの時間が迫る中、バス停横の我妻吉助こけし店を覗く。こけしを求めて来たというと、ちょうど店にいた敏さんが気さくに色々と話してくれた。最近はこけしの客は殆ど来ないが外国の客がグループでこけしを買いに来ることもあるそうだ。胴に紫の帯が入ったこけしを見ていると、それは松之進の型だと言って、元になる松之進こけし(写真右)を見せてくれた。ここでも後継者問題は深刻なようだ。年齢を聞くと筆者と同じ昭和25年生れ。まだ10年は頑張れますねというと、いやいやもうダメだと言って笑っていた。嫌がった写真を無理やり撮らせていただいた(感謝)。

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