第764夜:秋山耕作ととらよ
2週間程前、ヤフオクに秋山とらよのこけしが出品されていた。とらよは耕作の妻で耕作の木地に描彩を行って、耕作・とらよの合作こけしを耕作名義で作っていたため、とらよ名義のこけしは珍しく気になった。しかも、それと同手と思われるこけしが米浪旧蔵品としてkokeshi wikiに写真が載っており、実物が見たくなり入札に参加した。何とが入手できたので紹介したい。口絵写真はその表情である。
鳴子の秋山耕作は明治14年の生まれ、秋山清八郎の長男で忠や慶一郎の兄に当る。木地は明治39年に忠より修得したがこけしは作っていなかった。その耕作がこけしを作り始めたのは昭和14年頃からで、第一次こけしブームの影響があったものと思われる。夫婦の合作であり、こけし自体も特徴に乏しかったためか、あまり注目も浴びず3年間程で作られなくなったようだ。
ところで、wikiには次のような記述がある。
『〈こけし山河・41〉の記載によると、昭和18年に米浪庄弌が秋山忠を伴って耕作を訪ねたところ、耕作は描彩をしたことがないというので頼み込んで耕作木地に本人描彩8寸2分と7寸2分の2本を作ってもらったとある。』 その時のこけし(7寸2分)が写真掲載されている。
さて、こちらは今回入手のこけし。大きさは7寸3分、wikiの掲載品と胴模様が異なるだけで木地形態、面描は全く同じである。胴底には米浪マークも押されており、wikiの記載と大きさは異なるが本作がその時のもう1本と考えられる。胴底には米浪マークの他に、青のペン字で「五十九 トクヨ」とあり、また鉛筆書きで「秋山とらよ」とある。この記載から、ヤフオクには「秋山とらよ」として出品されたのであろう。この「トクヨ/とらよ」と書いたのは米浪氏ではないだろう。米浪氏から渡った他の誰かが記載したものと思われる。頭は小さく、やや縦長で下膨れである。胴は細身の直胴で中央部から下が微かに膨らんでいる。肩の山は低めで赤が塗られている。胴上下は赤の太線で締め、内側には赤と緑の細線が入っている。胴模様は横菊を2輪重ねている。
次に、この耕作描彩の本作と他の耕作こけし(描彩はとらよ)とを比べてみよう。
左は第510夜で紹介した耕作こけし(昭和16.8.6求ムとある)。耕作のこけしとしては代表的なものだろう。本作と比べると全体的にやや太目(これが標準的な形なのだろう)である。胴のロクロ線、菊の模様などほぼ同じである。右写真は頭頂部の様式であるが、星型の鬢飾り、八手型の水引、特に前髪後ろに髪を丸めて輪っか状にした様式は他に類例を知らない。違いは目が一側目か眼点の付いた二側目かである。
しかし、耕作は描彩をしたことがなく本作が初めてとしたら上手過ぎないだろうか…。左のようなとらよの描彩を見ながら描いたとしてもである。何とも疑問の残るこけしではある。
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