第769夜:打ち出の小槌(3)
先日のヤフオクに阿部正義さんの「打ち出の小槌」が出品されていた。正義さんの小槌はこれまでに何回か作られており、本千夜一夜でも(1)220夜と(2)220夜で紹介している。そのため国恵志堂にも1点所蔵しているが、今回の作はそれとはまた少し異なり保存状態も極めて良いため入札に参加した。こけしの蒐集は幅広く色々な楽しみ方があるが、木地技術の粋を極めたような作品には格別な趣がある。今回は運良く入手できた打ち出の小槌を紹介しよう。
現在「工人」と呼ばれているこけし作者の元を辿ると、昔は「木地師」と称された方々であった。山で木を切り、それを轆轤を使って削って、椀や盆を始め各種の木地製品を作っていた。そんな木地師が製品の残りの端材等を使って余技に作ったのがこけしである。そうした木地師にとって普通のこけしを作るのは簡単なことであり、中にはその卓越した技術を駆使して、究極の木地玩具に挑戦する木地師(工人)もいた。今回の打ち出の小槌の製作者である阿部正義さんもそんな工人の一人である。小林清次郎の弟子となり、長いこと吉三郎や清次郎の木地下を挽いてた正義さんの木地技術は素晴らしく、そんな中からこのような逸品が作られたのであろう。しかし、kokeshi wikiの阿部正義の項を見ても、木地玩具に関する記述は無く、多くの人は知らないと思われる。
それでは、今回の打ち出の小槌を紹介しよう。
こちらが全体像である。小槌の大きさ(長さ)は約30cm、頭にはクルクル回るダルマが付いている。樽状の胴体部分の中には小えじことこけしや達磨、独楽の入ったビニール袋が2つ、それにミニこけしや達磨、独楽の入った小ガラス瓶が2つ収納されるようになっている。
こちらはビニール袋の中のこけし等を取り出して、小槌の前に並べたところ。片方のビニール袋には、大5cm~小2cmで13本のこけしが入っている。もう一方のビニール袋には、ヤミヨ、赤ダルマ3個、白ダルマ3個、絵付き楊枝2本、独楽2個が入っている。
こちらはガラス瓶の中のミニこけし等を取り出したところ。左がガラス瓶(大)で中には、独楽2個、赤ダルマ3個、白ダルマ2個、ミニこけし3個が入っている。右はガラス瓶(小)で中には、独楽6個、赤ダルマ2個、白ダルマ2個、ミニこけし2個、ミニえじこ1個が入っている。
第220夜で紹介した小槌(左)と並べてみた。長さはどちらも同じくらいであるが、胴の部分が本作(右)の方がやや大きい。上部の回転ダルマは、左はダルマの頭にミニダルマが乗っているが本作ではミニこけしになっている。また、胴の蓋は、左は同心円のロクロ線を重ねたものであるが、本作ではこけし絵となっている。
筆者は阿部正義さんとは親しく話をしたことはないが、10年程前みちのくこけしまつりの会場でお客さんに真摯に応対をしている姿をよく見かけた。その後、会場で見かけることもなくなり、正義さんの新作こけしも目にしていない。年齢的には80歳台半ばになるのだが、御健在であろうか…
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質問よろしいでしょうか。
打出の小槌の真ん中の笛の部分は、抜けるのでしょうか?
梅木修一さんの打出の小槌は、抜けるので、
同じようになるのかなぁ?
と疑問に思っています。
投稿: トガワ | 2025年9月23日 (火) 19時10分
トガワ様
この小槌の笛は固定されています!
残念ながら抜けないですね…
投稿: 国恵 | 2025年9月23日 (火) 20時17分