第772夜:古型ロクロ続編(恵介最初期)
津軽系のこけしで特に力を入れて集めているものに盛秀型の古型ロクロがある。盛秀型が入手難の頃、その中では手に入り易いかと思って集め始めたのである。盛美津雄、奥瀬一家(鉄則、陽子、恵介)のものを集め、その原型となる盛秀太郎の古作まで辿り着いた。同じ型(形態・描彩)のこけしであっても当然個人差があり、そこが見所でもある。特に恵介のこけしは時期によって変化があり面白い。今回、その最初期の作が手に入ったので紹介しよう。口絵写真はその表情である。
現在はこけし作りから離れてしまった奥瀬恵介さん。10年以上の製作歴と2000本を超える作品がありながら、kokeshi wikiに「奥瀬恵介」の項目は無い。幸いなことに「奥瀬恵介10年間の歩み」(西山英樹著)があり、そこに恵介さんの製作履歴が詳細に纏められている。それによると、恵介さんは2002年からこけしの製作に取り組み、1年間の試作期間を経て、2003年から販売用の作品を製作番号入りで製作している。この古型の作品では2002年3/27の6寸2分が掲載されている。
こちらが今回のこけし。大きさは6寸2分で胴底には「3/23 恵介」の署名がある。「10年間の歩み」掲載品より4日早いものであり、この古型では最初期のものかも知れない。この型のそれ以降の作品と比べると、頭、胴が細身になっていて大きさが2分ほど大きい。首の部分の挽き跡が滑らかではなく、ぎこちなさも残っている。頭頂部の黒髪の部分が大きい。面描では上瞼の目尻が長く垂れて愛らしいこけしであるが、初々しさも感じられて好ましい。
それ以降の作品(第846夜参照)と並べてみた。試作で初期に作られたこの古型はその後あまり作られなかったようで、「10年間の歩み」に出てくるのは2012年(製作#1874)のもの。本写真の右4本はそれより前のものである。形、胴のロクロ模様の様式、頭頂部の中剃り、眼の描法、頬紅などに違いが見られ楽しめる。
津軽こけしの源流を求めて作られた恵介こけしの新作が見られなくなって久しい。復活を期待している愛好家は多いと思われるのだが…
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