第774夜:昭二の雄四郎型
10月の友の会例会の入札こけしの中に特徴的な菊模様のこけしが並んでいた。「巻き菊」と呼ばれる三段重ねの模様は遊佐雄四郎こけしの大名刺とも言われている。雄四郎の復元作(写し)と言えば高橋正吾さんが頭に浮かぶがそれとは異なる。胴底を見ると「雄四郎型 桜井昭二」とある。これは珍しいと入札に参加したところ他に応札者は無く、国恵志堂にやってきた。今夜はそのこけしを紹介したい。
こちらがそのこけしである。大きさは7寸5分。表情をよく見れば確かに昭二さんの作と分かる。木地形態、胴の巻き菊模様、流石に昭二さんだなぁと唸る。それにしても、雄四郎は直蔵系列(高亀)、どうして昭二さんが…と疑念が湧く。最も腕達者の昭二さんは自身の岩蔵系列のこけしのみならず、幸八系列の民之助型のこけしも作っている。更に遡れば、鳴子以外の系統のこけしにまで手を伸ばしていた。
ところで、本こけしには胴底に「H17 2月」の書き込みがある。正吾さんの雄四郎型復元に関しては、こけし手帖549(平成18年10月号)の『高橋正吾の武蔵古型などの最近作』の中で井田丈夫氏が紹介記事を書いている。そこでは、平成18年3月31日に送付されてきた雄四郎型3種の写真を載せ、「これまで(雄四郎の)写しを作ったことはなかったが、今回、遺族の了解を得て代表的な3種類を作ってみた」と正吾さんの言を載せている。また友の会では、正吾さんの雄四郎型を平成18年11月の例会で頒布している。第278夜に筆者が平成18年に正吾さんから送って貰った雄四郎型各種を示す。従って、本こけしの胴底の書き込みが正しければ、昭二さんは正吾さんより1年も前に雄四郎型を作っていたということになる。昭二さんが雄四郎型を作った理由が知りたいものである。
10月例会には、一般の中古こけし頒布品の中にもう1本雄四郎型らしきものがあった。写真の右のこけしで、大きさ7寸。高橋武俊さんの作(令和1年9月)である。こちらは頭部の描彩は通常の高亀のもの、胴模様のみ雄四郎の巻き菊を描いたこけしである。同じ巻き菊模様であっても、作る(描く)工人によって違いは出てくるもので、それも蒐集の楽しみの一つである。
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