第776夜:ステッキこけし(2)
戦前、弥治郎の新山福太郎の弟子だった小関幸雄が竹井の自宅で木地業を始めるにあたり、福太郎とは違ったこけしを作った。そのこけしはその形態から「ステッキこけし」と呼ばれたことを、千夜一夜(1)の第1000夜に記した。今回、このステッキこけしの小寸ペッケタイプを入手したので紹介しよう。
こちらが今回のこけしである。大きさは5寸2分、ちょっと大きめのペッケである。これをステッキこけしと呼んで良いかどうか分からないが、ステッキこけしが作られた時期のもので雰囲気は同じなので、ステッキペッケとしておこう。胴は細く長く、頭も縦長である。面描、胴模様とも描彩の基本は大寸のステッキこけしと変わらないが、頭頂部のベレー帽の配色、横一筆描きの前髪、縦一筆の単調鼻に違いが見られる。胴底には米浪マークがあり<S14>との書き込みもあるので、昭和14年の米浪旧蔵品と思われる。
第1000夜で紹介の定寸物(7寸9分)と並べてみた。このように大寸物と小寸物を並べると、あたかも親子のこけしを見ているようで微笑ましい。このようにペアで眺めるのが好きなので、大寸物が手に入ると小寸物が、また小寸物が手に入ると大寸物が欲しくなってしまう。戦前物ではこうしたペアで集めるのは必ずしも容易ではないので、入手できた場合の喜びは大きい。
こちらは胴底の様子。共に鉋の爪跡は無く、鋸の切り離しであるが、左の大寸物の方が右のペッケより細いのが面白い。左は鼓堂旧蔵、右は米浪旧蔵、こけし界の大先輩が集めて残してくれたことに感謝したい。
こちらは頭頂部の比較、胴底とは対照的に大寸物とペッケとの大きさの差が著しい。中央部の大きな赤丸と外周部の太い赤ロクロ線とその間の緑、紫の配色は同じであるが、大寸ではその間に黄色の太いロクロ線が入る点が異なる。
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