第780夜:盛秀古作に見る色彩の妙
笹森淳一こけし展の作品を見に、ひやねに行った折、盛秀の古品を見せて頂いた。それは通称「古型ロクロ」と呼ばれているもので、国恵志堂のコレクションの中でも特に力を入れて集めている型であった。この型の盛秀古品は1本持っているが、保存状態が良くなく特に色彩は見るべきものがなかった。今回見た作品はその色彩が鮮やかに残っており、一目で惚れてしまった。購入は可能ということで大奮発して入手した。今夜はそのこけしを紹介しよう。口絵写真はその表情である。
こちらがそのこけしである。大きさは1尺。材質は大きさに比べて軽い。著名コレクターの旧蔵品または図録等での掲載は無いようだ。一部色彩が飛んでいる部分はあるものの、全体的には良く残っており、昭和初期の風情が偲ばれる。頭は縦長でやや小さく、胴は段の上部と下部がほぼ同じ太さになっている。
既に持っている古型ロクロ(左:第877夜参照)と比べてみよう。本作は大きさは3分ほど小さく、その分頭も小さく細目になっている。胴上部(段の上)はほぼ同じ太さであるが、下部は本作の方が太くなっている。従って、胴の形態は左作のほうがすっきりとしていて、本作は下部がぼってりとした感じである。注目の色彩は、左作は飴色のいわゆる骨董色で本作はほぼ製作時の色と思われる。特に色がよく残っている裏側の比較(右写真)での差は一目瞭然である。赤と緑の発色が特に鮮やかである。また、ロクロ線の太さや配色にも違いが見られる。左作は昭和8年のものであるが、本作はそれと比べて手慣れた感じもあり、昭和10年前後のものと思われる。
両者の表情も比べて見よう。左作はやや下膨れであるが、本作は頬も細身ですっきりしている。木地との関係もあるのであろうが、左作では面描の筆致がぼってりしているが、本作ではタッチが鋭く精悍で眉・目は左右に開いている。第877夜で指摘した白眼については、本作では眼点がきっちりと描かれて白眼は見られない。
最後に胴底の状態も示しておこう。
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