第790夜:菊治のこげす
青根の佐藤菊治は菊池孝太郎とともに玄人筋を中心に人気の工人であり、友の会例会の「みんなで持ち寄り鑑賞会」でも昨年6月の第12回に取り上げられて、戦後作を中心に多くの作品が集まった。湾曲の大きな迫力のある瞳が魅力の戦前作は定評があり多くの文献でも取り上げられているが、その小寸物はあまり見かけない。今回、その小寸のこげす型がヤフオクに現れたので、今夜はそのこけしを紹介したい。
こちらかそのこけしである。大きさは5寸4分、作り付けの所謂こげす型である。胴は肩がやや張った直胴で、その上に小さめの丸い頭を付けている。畳付きの部分は軽く丸めており、その上に紫のロクロ線を2本重ねて引いている。胴模様は大振りの重ね菊を三段に重ねて、胴一杯に描いている。面描は大きな眉、上瞼とも湾曲が大きく、目は一側目で円らな瞳が愛らしい。
同時期の定寸の菊治(左:第637夜)と並べてみた。湾曲の大きな面描、大きな重ね菊模様、また胴裏の大きなアヤメ模様など、描彩の筆致はほぼ同じと思える。従って、この2本は同時期(昭和10年頃)の作と言って良いだろう。それぞれ1本ずつでも存在感のある大小2本のこけし、このように組み合わせて見ると互いに引き立て合って、より見応えのあるペアとなっている。
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