第791夜:56歳の護こけし
先日ヤフオクに出ていた佐藤護のこけし(56歳)は、護の戦後の一連のこけしとは一味違うものであった。筆者は以前、同趣の護こけしを入手しており(第65夜)、気になっていたが疑問を抱いたままであった。今回の作はその答えになりそうな気がして入札に参加した。流石に他にも注目する方があってそれなりの価格になってしまったが何とか入手することが出来たので、今夜はその56歳護こけしを検証してみたいと思う。口絵写真はその表情である。
護は大正期からこけしを作っていたようであるが、残っている作品は昭和15年に出征から帰還してからのものである。本格的な復活は〈鴻・13〉で紹介された16年からである。その頃のものは縦長の丸頭にナデ肩の形態で切れ長の目がコケティッシュな表情のものであった。戦後は新型こけしの影響を受け、頭は縦長でやや角張り、目の位置が下がって眼点の大きな愛らしいものになった。その特徴は56歳になっても続いていた。
こちらが今回のこけしである。大きさは6寸。頭は縦と横の長さがほぼ同じの角頭になっている。目の位置は顔の中央辺りに上がり、細いの切れ長な瞳となっている。この表情を見ていて気が付いたのは、護の復活初期、昭和15年のこけし(第834夜参照)である。
56歳2本と15年作を並べてみた。左から第65夜、本作、15年作である。同じ6寸で木地形態はほぼ同じ。65夜の作では形態は似ているが表情には今一つ決め手が無かった。ところが、こうして3本を並べてみると、中央の本作の目の描彩が15年作と酷似しているのが分かる。このことから、左2本は15年作の復元作ではないかと思っている。形態や目の描法以外にも、胴模様は首下に襟が無い重ね菊を描いていること、署名は「護 56才」で「遠刈田」や「新地」が書かれていないことなど、他の護こけしとの相違点も見受けられる。
56歳近辺の作を重ね菊模様で並べてみた。左から、55歳、56歳、本作、57歳、58歳である。首下の襟の有無、署名の違いを見て頂きたい。この復元作がどのような経緯で作られたのかは分からないが、この後58歳から60歳にかけて、護こけしはピークを迎えるのである。そういう意味からも、この56歳作の護こけしは興味深い。
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