第797夜:けさの型の軌跡(是伸)
3月末に浅草の「ふるさと交流ショップ台東」で展示・販売会を行った柿澤是伸さんは、以前に頼んでおいた国恵(筆者)所蔵の大沼けさのこけしの写しを作ってくれて来た。今夜はその話をしよう。是伸さんはここ数年けさの型に力を入れており、幾種類かのもの作っているので、その軌跡を辿ってみようと思う。口絵写真は、今回作ってくれたけさの型(写し)の表情である。
鳴子の大沼けさののこけしは西田峯吉著「鳴子・こけし・工人」の口絵写真に載っている7本(米浪氏蔵B、C、D)が知られている。この内のB2本(8寸、6寸4分)とC(7寸8分)は大沼けさのと明記されており、D4本(5寸9分、5寸8分、4寸、3寸7分)は作者名は無いが作行が似ており、これも今ではけさのと云われている。このけさの型については福寿は作っておらず、是隆、義一、そして是伸さんの作が知られている。下掲の写真がD4本である。
今回作ってくれたのは、D(5寸8分)の楓模様のものであり(上掲写真の左から2本目)、その原については第749夜で紹介している。約6寸のD2本の内、もう1本の石竹模様のものは以前から作られている。手持ちのものでは平成24年8月入手のものがあるが、写真を元に作ったものと思われ、細部は原に忠実ではない。この石竹模様のものも今回新たに作られていた。
左がH24.8のもので、右が今回のもの。今回、けさのの原を見た事で、頭の形や表情(目の描き方:一筆目から一側目)、頭頂部の水引の様式に改善点が見られる。
さて、こちらが今回作って頂いた写しと原(真ん中)である。写しは全部で9本作ってきたとのことで、試作品であり入手された方はラッキーかも…(笑)。私は写真の2本をゲットした。今回、原を見て作ったことで特に気が付いたのは、胴上下の鉋溝が太く深いということで幅は狭くなっている。石竹模様の前2作と比べて頂きたい。これだけでもこけしの迫力はかなり違ってくる。また先が7手に分かれた楓模様は珍しいとのこと。一筆目にも見える眼点の小さな瞳、後方になびくように描かれた三筆の水引など、原を見ることによって明確になったことも多く、良い写しが出来て嬉しい限りである。けさののちょっと惚けたような古雅溢れる表情を巧みに写してくれたと思う。今後、本格的に作っていくことによって更に完成度が上がって行くことを楽しみに期待したい。
最期に、現在、是伸さんが作るけさの型のこけし(今回、入手したもの)を並べてみた!
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