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第809夜:田中敦夫の初期エジコ

Atuo_ejiko_zentai ひと月ほど前に、蔵王系・田中敦夫の初期のエジコをヤフオクで入手した。それほど有名でも無く、人気工人でもない敦夫のエジコであったが、そこそこの入札があり、そこそこの価格になった。胴底には1980年という署名があり、敦夫としては極初期の作であることが分かる。そのこぼれんばかりの笑顔が愛らしい。昨今の「カワイイ」とは異なる範疇の「かわいい」えじこである。今夜はそのエジコを紹介したい。口絵写真はその全体像である。

Atuo_ejiko_2men

Atuo_ejiko_all

こちらがそのエジコである。大きさは径7cm、高さ9cmである。胴中が刳り貫かれた容器型のエジコで、頭部の蓋が胴部にきっちりと嵌って逆さにしても落ちて来ない所謂「パッチンエジコ」となっている。中には小さな独楽が一つ入っている。

Atuo_ejiko_pea Atuo_ejiko_pea_soko

同時期の敦夫のこけし(左:栄治郎型5寸)と並べてみた。描彩は手馴れていないが、鬢の下部が内側に曲がる描法が見られる。6月の友の会例会の福寿こけしでも感じたことであるが、昭和30年代と40年代以降では、そのこけしが醸し出す雰囲気が大きく異なっている。それは蒸気機関車から新幹線へと変わった日本経済の急激な成長と期を一にするものと言える。こけしは何時の時代でも、その時々の世の中の風潮を如実に表しているものであり、その変化をこけしを通して感じるのも蒐集の醍醐味の一つと言えるだろう。

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