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第813夜:高橋市太郎(その2)

Ichitaro_a_kao2
今年の2月に前から欲しかった高橋市太郎のこけしを入手したことを書いた(第792夜)。そこでは市太郎のこけしには鋭い三日月目のA型と愛らしいクリクリ目のB型があることも記している。それから半年程経ってから持っていないA型がヤフオクに出品された。コレクターの性でA、Bの両方を手元で比べてみたくなり入札に参加して手にすることが出来た。今夜はそのこけしを紹介しよう。口絵写真はそのA型の表情である。

Ichitaro_a_2men2

こちらがそのA型のこけしである。大きさは6寸。署名や書き込みなど素性を示すものはない。全体的にやや古色が付いて黒ずんでいるが退色は殆ど無く、状態は良いと思う。以下に、前回のB型と比べながら見て行こう。

Ichitaro_a_hikaku2

こちら、左が今回のA型、右が前回(792夜)のB型である。
先ず木地形態を見てみよう。本作(左:A型)は頭と胴が作り付けで頭はやや縦長で丸い。一方、右のB型では首のところで頭と繋がっており(差込)、頭は長くやや角張っている。全体的な印象はB型の方がシャープな形態と言えるだろう。胴模様はいずれも三段の重ね菊で下部には紫と赤のロクロ線が入っている。重ね菊の花弁は左が9本、右は7~8本と大きさの割には少なくなっている。

Ichitaro_a_atama_hikaku Ichitaro_a_kao_yoko_hikaku

次に頭頂部の描彩を見てみよう。左作は前髪の後ろに緑で丸線を引き、そこから赤い手絡線が後方に3本伸びている。一方、右作では手絡線が5本に増えている。また頭側部は、左作では前髪の横から鬢の後ろにかけて大きく5本描かれている。一方の右作では鬢の下部に緑で小さな耳を描き、そこから後ろにこじんまりと5本描かれている。この描法の違いはかなり大きいと言えるだろう

Ichitaro_a_kao_hikaku

そして面描である。左右に振り分けた前髪、鬢とその間に眉、目、鼻、口を描いているのは同じ。ここでは目の描法の違いが大きいが、前髪や鬢の描法でも左作の方が勢いがあり、右作はおとなしい。左作の二側目は下瞼が水平で上瞼との間に縦に細い眼点を入れている。その眼光は鋭く妖しげな雰囲気を醸し出している。一方の右作では二重の瞳が大きく丸く優しい表情になっている。

市太郎のA型、B型について、kokeshi wikiではその製作時期については確実な判定指標は定かではないと書かれているが、今回の2本を比べたみた限りでは左のA型により古風さが感じられ、A型→B型へと変化したというこれまでの説が確認できたように思う。

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