国恵志堂にとって佐藤文助のこけしは縁遠いこけしの一つであった。筆者がこけしを集め始めた昭和40年代後半、文助のこけしは丑蔵とともに遠刈田で人気絶頂のものであり、入手は困難であった。しかも戦後の文助こけしは人気とは裏腹に甘さばかりが目立つものとなっており、入手する意欲もあまり湧かなかった。その後、古品に興味を持つようになり、戦前の文助を写真等で見ることで文助に対する想いは静かに深まっていった。念願の文助古品を入手したのは平成も終わりに近づいた頃で文助39歳の逸品であった(第86夜参照)。今夜は、それとは雰囲気の異なる40歳作を紹介しよう。
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