ヤフオクは一年中休み無しにやっているので正月元日に締め切りを迎えるものもある。基本的には一年中暇人の筆者は、元日からヤフオクを覗くことになる。年末から出品されているこけしの中に気になる一品があった。山形系の小林清次郎のこけしである。出品解説には「雪女・吉太郎型」とある。清次郎のこけしは好きなので「雪女」は知っていたが、出品作は保存状態も良い上に出品価は何と500円。かなりの争奪戦が予想されたが、締切1時間前になっても応札者がいない。この手の清次郎を探していた同人のKさんにメールしてみると、ウォッチしているというので入札を勧める。結局他に応札者は無く、出品価でKさんが落札。それを借りたので、今年最初のこけしとして紹介しよう。
新しい年が始まりました。長らく続いた新型コロナも5類になって終息に向かい、世の中もコロナ以前の賑わいが戻ってきたようです。一方、ウクライナ戦争は終わりが見えず、パレスチナの戦禍も続いています。今年はこのような状況が少しでも改善されることを願って止みません。本年も、よろしくお願いいたします。
約2か月続いたまん延防止等重点措置がようやく解除となったら、今度は供給電力不足で停電の恐れがあるから節電して欲しいとの要請が出された。ウクライナの戦争状態を考えれば僅かな我慢に過ぎないのだろうが、何ともやるせない世の中になったものである。さて、物の価値を考える上で「折り紙付き」という評価がある。それをこけしの世界に置き換えてみると、著名コレクターの収蔵品でそのコレクターの蔵票等の張られたものがその類と言えるだろう。また「陸奥売店」のゴム印もその一つに数えれるだろう。「陸奥売店」とは戦前、仙台駅前にあった陸奥ホテルの1階売店のことで、そこでは土産物と一緒にこけしも売っていた。特に昭和15~16年頃に多くのこけしを扱っていた。その紫色のゴム印が押されたこけしは戦前の古品であることが明白で、しかもその保存の良さが特筆される。今夜紹介するのは、その陸奥売店印の押された小林吉太郎のこけしである。口絵写真は、その表情である。
暫くぶりの更新である。2月に入ってコロナの新規感染者は減少傾向になっているが、まだまだ安心できる状態には程遠い。今は、東京五輪組織委員会の森会長の進退問題が炎上している。さて、こけしは丸い頭と円筒形の胴を繋げた形が基本であるが、その両者の形・大きさにはかなりの幅があるようだ。そんな中で、頭を極端なまでに大きくしたこけしが戦前から時々見られる。山形系の小林一家のこけしもその一つであり、特に倉吉のこけしは大頭で有名である。倉吉のこけしも大正期のものは均整のとれた形であり、昭和5年頃をピークに大頭のものがあり、それらは倉吉こけしの中でも総じて高評価であるようだ。先日、ヤフオクに倉吉の大頭が出たので手を出してしまった。今夜はそのこけしを紹介しよう。口絵写真は、その大頭こけしの表情である。
小林吉太郎のこけしは好きなこけしの内の1つである。こけしの文献を読んでその魅力に取りつかれ、ヤフオク等の古品市場で入手を試みた。同じ古品でもより古いものほど良作が多く、それらは当然それなりの価格が付き、入手を困難にしていた。数年前にヤフオクに出た正末昭和の美品の中にも吉太郎があったが、小品ものにも拘わらず相当の高値になっていた。吉太郎こけしの中で特に印象に残っているものがある。小林清次郎の復元でも有名になった都築コレクションの吉太郎(尺7分)である。小頭で胴が長く、桐材に赤と黄緑色で描かれた胴模様が印象的なこけしである。先日ヤフオクに出品された吉太郎は、先ずその保存の良さに目を奪われたが、その形態と描彩が都築コレクションの吉太郎を彷彿させるものであった。そのこけしを入手したい気持ちが一気に高まり5人による争奪戦を制して、コレクションに加えることが出来たのはラッキーだった。今夜はその吉太郎を紹介しよう。口絵写真はその表情である。
新型コロナウィルスは拡散状況にあり、今日から日本中の殆どの学校で一斉休校に入った。ここ二週間の頑張りで沈静化を祈りたい。さて、こけし界の先達には粋な方々が多く、特徴的なこけしには綽名を付けて楽しんでいた。山形の小林吉太郎のこけしには、「写楽」という名物こけしが存在する。「原」こけしは植木昭夫氏所蔵の正末昭初の尺3寸の大こけしであり、その柳眉逆立つ表情が浮世絵師「写楽」の描く大首絵に似ているところから付けられたようだ。このようなこけしは復元の対象となり後継の工人によって写しが作られている。「写楽」については小林清次郎の写しが「こけし 古作と写し展」用に作られた。今夜紹介する「写楽」写しは長谷川正司さんのもの。口絵写真はその表情である。
今年も大晦日前日を迎えた。昨年は好天であったが、今年は雨日となってしまった。本ブログもこの403夜で今年を締めくくることにしよう。今年は327夜からスタートしたので、この一年で76夜分を加えたことになる。さて、今年最後は日下源三郎のこけしで締めることにしよう。先日ヤフオクで源三郎のこけしを入手した。既に持っている源三郎こけし(千夜一夜1第617夜)とは異なる胴模様が興味を持ったのである。そのこけしが家に届き、暫く眺めていたのだが、それとは関係なく最近入手こけしを入れてある段ボール箱を覗くと、今回入手した源三郎こけしによく似たこけしが目に入った。それは二月ほど前に10本纏めて入手した中の1本であった。胴底の署名をみると小林清とある。清さんが源三郎型のこけしを作っているとは思いも寄らなかった。またまた「こけしがこけしを呼ぶ」というこけし界の不思議な縁に遭遇したのかも知れない。口絵写真は、源三郎こけしの表情である。
米沢の長谷川正司さんとは長い事懇意にして頂いている。正司さんは数年前に奥さんが亡くなって、その後は自身も体調を崩してしまい、こけしの製作も休みがちでコンクールへの出品も中断していた。今年になって暖かくなるにつれて体調もようやく回復し、鳴子の全国こけし祭りコンクールに久し振りにこけしを出品することになった。吉太郎のこけしに心酔している正司さんは各種の吉太郎型を作っていたが、今回の出品に関して新たな取り組みを考えているようであった。ところで、国恵(筆者)には気になる吉太郎のこけしがあった。天江コレクションにある大正末期の吉太郎である。特異な木地形態と鋭い表情の迫力満点のこけしである。そこでその写真をコピーして正司さんに送った。正司さんも興味を持ったようなので、その吉太郎こけしの所蔵者である高橋五郎さんに問合せを行った。その吉太郎は今までに復元されたことは無いようで、作っても良いとの返答を頂いた。正司さんは鳴子のコンクールに5本のこけしを出品したが、この天江吉太郎型が選ばれて福島県知事賞を受賞した。今夜はその同型こけしを紹介しよう。口絵写真はその表情である。
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