第569夜:折り紙付きのこけし(吉太郎)
約2か月続いたまん延防止等重点措置がようやく解除となったら、今度は供給電力不足で停電の恐れがあるから節電して欲しいとの要請が出された。ウクライナの戦争状態を考えれば僅かな我慢に過ぎないのだろうが、何ともやるせない世の中になったものである。さて、物の価値を考える上で「折り紙付き」という評価がある。それをこけしの世界に置き換えてみると、著名コレクターの収蔵品でそのコレクターの蔵票等の張られたものがその類と言えるだろう。また「陸奥売店」のゴム印もその一つに数えれるだろう。「陸奥売店」とは戦前、仙台駅前にあった陸奥ホテルの1階売店のことで、そこでは土産物と一緒にこけしも売っていた。特に昭和15~16年頃に多くのこけしを扱っていた。その紫色のゴム印が押されたこけしは戦前の古品であることが明白で、しかもその保存の良さが特筆される。今夜紹介するのは、その陸奥売店印の押された小林吉太郎のこけしである。口絵写真は、その表情である。
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