津軽系

第597夜:津軽こけしの源流を求めて(諒祐3)

Ryosuke_maegami_kao 引き続き、諒祐さんの盛秀古型の紹介である。写しの対象となった「原」こけしは西田記念館に所蔵されている昭和初期の盛秀こけしで、顔の上部と左右に赤い飾りを付けた通称「前髪」と呼ばれるこけしである。(kokeshi wikiの盛秀太郎の項を参照)。前2夜で紹介した盛秀古作は「こけし這子の話」に掲載された大正期のこけしで、その表情はグルーミー感が強いが、今夜の盛秀古作はやや後年の作となり、鯨目の表情もやや穏やかになっている。では、諒祐さんの「前髪」を見てみよう。

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第596夜:津軽こけしの源流を求めて(諒祐2)

Ryosuke_momiji_kao 昨夜に続いて、諒祐さんのこけしを見て行こう。大阪こけし教室の「山河だより」や東京こけし友の会の「こけし手帖」の例会頒布こけしの写真を見てみると、諒祐さんは盛秀の古型と本人型を作っていることが分かる。両者を比べてみると、やはり盛秀古型の方に目が行ってしまう。一口に盛秀古型と言っても、その種類は結構沢山あり、それをどのように作っていくのかは興味深い。今夜のこけしもそんな盛秀古型の1本である。

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第595夜:津軽こけしの源流を求めて(諒祐1)

Ryosuke_4kame_kao コロナの第8波が懸念される中、日本中が歓呼の中で師走を迎えた。サッカーW杯で日本が強豪のドイツ、スペインを撃破して決勝トーナメントへ進んだのである。当初の予想を覆すこの快挙は今年最後を飾る明るい出来事であり、決勝トーナメントでの更なる朗報を期待したい。さて、ここのところ更新が滞っている本ブログも、このサッカーの勢いに力を得て先に進んでいこう。今夜は、津軽系の新人、盛諒祐さんのこけしを初めて取り上げて紹介する。

 

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第562夜:盛秀の初期こけし

Morihide_shajime_kao 今日から2月が始まった。ほどなく中国北京では冬季五輪が始まる。日本の新型コロナの感染は鎮静に向かうのか、更なる増加に行ってしまうのか心配は絶えない。さて、昨日は盛秀太郎の昭和20年代、穏やかで明るい笑顔が微笑ましいこけしを紹介したが、今夜は更に時を遡った盛秀初期のこけしを紹介したい。数年前にヤフオクに出た正末・昭初の盛秀こけしは、古津軽の初原的で怪奇な表情とその出来立てのよう極美な保存の良さとから桁違いの高値となったが、本作は昨年10月に出品されたもので保存状態もそこそこだったため入手範囲内に収まって国恵志堂コレクションにやってきたものである。盛秀初期の特徴をきっちり備えたもので、昭和初期のものであろう。口絵写真はその表情である。

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第561夜:盛秀の開き目こけし

Morihide_s20hiraki_kao 令和4年の1月も今日で終わる。年明けの時点では新型コロナの感染者は少ない状態であり、希望に満ちた1年になるものと思っていた。その後のオミクロン株による感染者の爆発的な増加は周知の通り。ようやく専門家からもピークアウト等と言う言葉が語られるようになってきたが、まだまだ予断を許さない。このような状態の中、東京こけし友の会の新年例会は何とか開催されたが、基礎疾患のある筆者はリモートでの参加となった。実例会への参加者は27名ということであった。筆者はその翌日から腰痛に悩まされることになり、ほぼ一週間を費やしてしまった。そんなことで筆も進まず、このひと月で2回しか本ブログを更新できなかった。「更新の遅延、極まれり!」の状態である(苦笑)。1月の入手したこけしはヤフオクでの数本のみ。今夜はその中の1本、盛秀太郎のこけしを取り上げてみたい。口絵写真はその表情である。

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第554夜:美津雄の初期こけし

Morimitu_s5303_kao 盛秀型の睫毛こけしにはあまり惹かれるものがなかったので、特別の訳あり品以外は殆ど所有していなかった。ところが最近は、ネットでも盛美津雄の初期の睫毛こけしが出てくるようになり、それらを見ているとじっくりと見てみたいと思うようになり、ヤフオクでも入手するようになった。友の会の例会には、盛秀を始め美津雄さん、鉄則さん、陽子さんの睫毛こけしが毎回出ることが多く、11月の例会でも、美津雄さん3本、鉄則さん2本の睫毛こけしが並んでいた。その中の1本は、その面描や署名、底書きなどから初期のものと思われ、入札に参加した。最近では、盛秀型こけしは会員には食傷気味なのか、応札は他に1件しか無く、入手することが出来た。今夜はそのこけしの紹介である。口絵写真は、初期睫毛こけしの表情である。

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第545夜:佳樹さんの伊太郎型

Yoshiki_itaro_kutie 一昨夜、NHK-BSで「ザ・プロファイラー」を見ていると、女優の草笛光子さんが出ていた。近々、88歳になるという草笛さんと言えば「老いは億劫との戦い」という言葉を思い出す。筆者もコロナ禍の中で70の大台を超えてから、つとにその言葉が身に染みるようになった。「億劫」には身体の具合が原因のものと気持ち(精神的なもの)が原因のもの、その両方が原因のものとがあるのだろうが、最終的には「やる気」を起こさせることが出来るかにかかってくる。本ブログの更新も、その「やる気」が起きるかどうかで、「まあ、明日でいいかー」という気持ちが勝ると、時間だけが過ぎ去っていく…。さて、気を取り直してブログを書こう。津軽の伊太郎型を調べていると、数少ない伊太郎こけしの殆どは8寸と3寸、それに5寸程のものが若干混じるようだ。その伊太郎の3寸を入手した(第213夜)ことから3寸の伊太郎型に特に興味を持った。佐藤善二の伊太郎型には3寸物があり、何本か手に入れている(第512夜)。今回、善二の息子佳樹の3寸伊太郎型がヤフオクに出ていた。佳樹の3寸伊太郎型は持っていなかったので応札したが、他に誰も関心を示さず出品価で落札できてしまった。今夜は、その佳樹の伊太郎型を紹介しよう。口絵写真は、その伊太郎型である。

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第508夜:初期の伊太郎型(小島俊幸)

Kojima_itaro_s430610_kao 昨夜の続きで、今夜は小島俊幸さんの伊太郎型である。昨夜の紹介にあるように、こちらも胴底に「43.6.10作」の書き込みがある。この時期に小島さんが阿保さんと一緒に作っていた伊太郎型が2種類あることは昨夜述べたが、本作は阿保さんの伊太郎型とは別の伊太郎型である。口絵写真は、その初期伊太郎型の表情である。

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第507夜:初期の伊太郎型(阿保六知秀)

Abo_itaro_s430610_kao このところ初期作の追及に励んでいるが、今夜は津軽系の佐藤伊太郎型である。現在、津軽系の多くの工人が伊太郎型のこけしを作っているが、kokeshi wikiによると、その発端は、昭和43年2月に鹿間時夫氏が佐藤善二に制作を勧めたのが発端であるとのこと。当時、善二には阿保六知秀と小島俊幸という二人の弟子があり、善二、六知秀、俊幸の3工人が伊太郎型に挑戦することになった。この3工人の初期の伊太郎型はkokeshi wikiの各々の工人の項で紹介されている。その初期の伊太郎型は3人とも2種類作っており、2本の異なる伊太郎こけしを「原」としたことが分かる。鹿間氏の著書「こけし鑑賞」を見てみると、佐藤伊太郎の項には3本のこけし(いずれも米浪氏蔵)が載っており、その内の左と中央の2本が「原」に選ばれたようだ。先週のヤフオクには、阿保さんと小島さんの伊太郎型が出品され、いずれも胴底には「43.6.10作」の書き込みがあり、その形態・描彩からも初期の伊太郎型と推測された。やや作風の異なる2本であり、比較する必要性から両方とも入札して手にすることができた。今夜はそのこけしを中心に初期伊太郎型を見てみよう。口絵写真は阿保さんの初期伊太郎型の表情である。

 

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第487夜:子持ちえじこ(笹森淳一)

Sasa_komoejiko_hon_kao 国恵は、こけしそのものは勿論好きであるが、木地細工物にも心が惹かれる。中でも、容器型のえじこの中に小さな子こけしを沢山入れた子持ちえじこは大の好みであり、機会があればコレクションに加えている。子持ちえじこは作るのに相応の木地技術が必要であることから誰でも作るという訳ではなく工人も限られる。笹森淳一さんは子持ちえじこの名人であり、国恵志堂のコレクションの中にも幸兵衛型と伊太郎型のものが入っている。「地梨(第43号)」(地梨の会発行)には笹森さんの30本の子こけし(本人型)が入った子持ちえじこが載っており、垂涎の的であった。先般、ヤフオクに同様の本人型子こけしが12本入った子持ちえじこが出品された。地梨の子持ちえじこのミニ版とでも言えるもので思わず手が出てしまった。今夜は、その子持ちえじこを紹介したい。口絵写真はそのえじこの表情である。

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