去る21日に荒川洋一さんから電話を頂いた。以前お預けした酒井正進戦前作(安藤良弘描彩)こけしを返却していただくことに対する連絡であった。コロナ禍の中であるがお元気で、客は少ないが家の周りの片付けもので忙しいとのことで安堵した。橘コレクションの正進こけし(第912夜)が再現されなかったのは残念であるがこれも仕方のないこと。そんな折、ヤフオクに荒川さんの酒井正進型こけしが出品され、良い出来で今作ったばかりのような保存状態に惹かれて入手した。今夜は、そのこけしを紹介しよう。口絵写真はその表情である。
こけしを集め始めて最初の産地訪問は、昭和46年の10月。大学のサイクリング部の合宿で会津若松から福島まで磐梯・吾妻スカイラインを走破した帰りであった。その時は、飯坂と土湯温泉に行き、3本のこけしを求めた。土湯温泉ではバス停横のアサヒ写真館で2本のこけしを買った。1本は欲しくてたまらなかった斎藤弘道さんの作、そしてもう1本は蛸坊主を選んだ。まだ工人名もろくに分からない時期で、蛸坊主は荒川洋一さんと三瓶春男さんの作があったと思う。作品の良し悪しなども分からず、荒川作を選んだのは、胴底の署名に「芳蔵弟子」と書かれていたからであった。その蛸坊主は国恵志堂の4番目のこけしであった。しかしその後、そのこけしは手放してしまった。最近、こけし自分史なるものを纏め初めたところ、この収集初期のこけしが必要になり、その写真を探したが見つからなかった。ところが先日、そのこけしがヤフオクに出てきたのである。何とも嘘のような都合の良い話であるが、そうしてこの洋一さんの蛸坊主が戻ってきたのである。今夜は、その蛸坊主を紹介したい。口絵写真はその表情である。
今夜は4月頭に纏めて入手した古品の最終回である。中ノ沢の酒井正進の戦前のこけしであるが、千夜一夜(1)の第274夜で紹介したものとはやや様式が異なるので、比較しながら紹介したい。
先週末の締め切りで保存状態が良好な古品が20本程、ヤフオクに出ていた。ここ暫く古品の出品が途絶えていたので注目して見ていた。中に何本か欲しいこけしがあり、入札に参加して2本を入手することが出来た。昨年は極上の古品が大量に出品され、その価格も鰻上りであったが、昨今は大分落ち着いてきて、相応の価格で手にできるようになったのは喜ばしい。さて、今夜は入手した内の1本、岩本芳蔵のこけしを紹介しよう。出品コメントでは大きさが7センチとなっており、豆こけしに近い小品と思っていたが、届いたこけしは17センチの立派なものであり、嬉しい間違いであった。口絵写真はその芳藏の表情である。
昨27日は国立新美術館で開催されている「ルノワール展」に行ってきた。5月に行った若冲展では3時間もの待ち時間があったため、ある程度の覚悟をしていたが、何と全くの待ち時間無しで会場に入ることが出来た。会期が4月末から8月末と長いこと、シルバー割引が無いことが影響しているのかも知れない。しかし若冲展が異常なのであって、このルノワール展くらいの混み具合で名画を鑑賞したいものである。さて、今夜のこけしは戦前の芳蔵こけし(本人型)である。口絵写真は、その表情である。
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