写し

第612夜:「辞典」のこけし(菅原敏)

Satoshi_sanzo_kao こけしの文献に載っているこけしは、こけし界の先達が選んで掲載されているものであり、注目すべきものが多い。戦前のものであれば数は少なく入手が難しいことが多いが、戦後のものであれば同時期に複数本作られていた可能性が強く、それらを求めることも出来る。最近ではネット上に沢山のこけしが出品され、また高齢の愛好家のこけし終活などから入手の機会は増えてきている。先日、菅原敏のこけしが出品され、「こけし辞典」の掲載品と同手と思われたので参戦して入手することが出来た。今夜はその敏こけしの紹介である。

 

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第610夜:英太郎こけしが大量に…(2)

Eitaro_mokume_dento_kao 英太郎こけしの続編である。第1回目39本に続いて数日後には第2回目の13本が出品された。筆者は第1回目で既に1本を入手していたので第2回目はスルーするつもりで見ていたが、今回の出品作を見てみると前回と比べてその筆致にかなりの違いのあるものが何本か含まれているのが分かった。その筆の違いはかなり大きいものであり、比べてみるために今回も1本入手しようとヤフオクに参戦した。今夜はそのこけしを紹介しよう。

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第609夜:英太郎こけしが大量に…(1)

Eitaro_mokume_honnin_kao 2月の後半、ヤフオクに佐藤英太郎のこけしが大量に出品された。1本ずつの出品で、大きさは8寸から8寸5分ほど、胴模様は全て木目である。コレクター放出品ということから、英太郎の熱烈なコレクターが特注で作って貰ったものと思われる。どのような経緯で作られたものか、いつ頃のものかというような情報は出品者からは得られなかった。出品は2回に分けて行われ、全部で50本ほどとなった。筆者は英太郎のコレクターではないが、興味から各回で1本ずつ入手したので紹介する。今夜は、第1回目の出品作である。

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第607夜:「こけしの世界」展に行ってきた…

Kazutoten_r5_postar_20230223235501 昨22日、横浜人形の家で開催されている「こけしの世界」展を見に行ってきた。この展示会はイラストレータで東京こけし友の会の会員でもある佐々木一澄氏の企画展で、例年は正月に開催されていたものを人形の家とタイアップして拡大開催したもので、その集大成と言っても良い企画展である。昨年の12/17から開催されており、3/12までの会期となっている。会期中には、工人の来場による販売会、トークイベント、こけしやトートバッグの制作などの小企画も単発で用意されている。

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第598夜:宣直さんの復活こけしとその後

Yoshinao_r3_fuukatu_kao 11月に行われた「第41回みちのくこけしまつり」で鳴子の髙橋宣直さんが官公庁長官賞を受賞した。「高亀」の伝統を受け継ぐ宣直さんが事情があってこけし作りから離れたのは平成17年9月のこと。多くのこけし愛好家が残念に思ったものである。父正吾さんの逝去(平成2年6月)に宣直さんもこけし作りの再開を決意したのであろう。大阪こけし教室の中根会長のご尽力もあって、令和3年4月、宣直さんの復活こけし(3月作)が大阪こけし教室から頒布された。先日、それ以降の作も含めて、中根会長からお譲り頂いたので紹介させていただく。口絵写真は復活初作こけしの表情である。

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第597夜:津軽こけしの源流を求めて(諒祐3)

Ryosuke_maegami_kao 引き続き、諒祐さんの盛秀古型の紹介である。写しの対象となった「原」こけしは西田記念館に所蔵されている昭和初期の盛秀こけしで、顔の上部と左右に赤い飾りを付けた通称「前髪」と呼ばれるこけしである。(kokeshi wikiの盛秀太郎の項を参照)。前2夜で紹介した盛秀古作は「こけし這子の話」に掲載された大正期のこけしで、その表情はグルーミー感が強いが、今夜の盛秀古作はやや後年の作となり、鯨目の表情もやや穏やかになっている。では、諒祐さんの「前髪」を見てみよう。

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第596夜:津軽こけしの源流を求めて(諒祐2)

Ryosuke_momiji_kao 昨夜に続いて、諒祐さんのこけしを見て行こう。大阪こけし教室の「山河だより」や東京こけし友の会の「こけし手帖」の例会頒布こけしの写真を見てみると、諒祐さんは盛秀の古型と本人型を作っていることが分かる。両者を比べてみると、やはり盛秀古型の方に目が行ってしまう。一口に盛秀古型と言っても、その種類は結構沢山あり、それをどのように作っていくのかは興味深い。今夜のこけしもそんな盛秀古型の1本である。

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第595夜:津軽こけしの源流を求めて(諒祐1)

Ryosuke_4kame_kao コロナの第8波が懸念される中、日本中が歓呼の中で師走を迎えた。サッカーW杯で日本が強豪のドイツ、スペインを撃破して決勝トーナメントへ進んだのである。当初の予想を覆すこの快挙は今年最後を飾る明るい出来事であり、決勝トーナメントでの更なる朗報を期待したい。さて、ここのところ更新が滞っている本ブログも、このサッカーの勢いに力を得て先に進んでいこう。今夜は、津軽系の新人、盛諒祐さんのこけしを初めて取り上げて紹介する。

 

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第594夜:大内恵津子の一次古型

Etuko_shimobukure_kaoヤフオクを見ていたら、ちょっと気になるこけしに出会った。やや下膨れの顔にクリッとした小振りの目、頬紅が愛らしい。明るい色彩の可愛いこけしが氾濫している昨今のこけし界、しかし本作は単に愛らしいだけではなく、何処かで出会ったような親近感を覚えた。岳温泉の大内恵津子のこけしであった。胴底の書き込みから平成16年の作のようだ。今夜はこのこけしを眺めてみよう。口絵写真は表情である。

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第590夜:義一さんの盛写し(3)

Yoshikazu_akitasakari_kao 11月に入り今年もあと2か月となった。ようやく収束かと見えたコロナはまた盛り返しつつあるようだ。ここのところ新たに入手するこけしはめっきり減り、本ブログに掲載する話題も減ってしまった。本ブログの書籍化を進める中で、未掲載のこけしも出てきたので、紹介したいと思う。千夜一夜(1)の第15夜で高橋義一さんの盛写しを紹介したが、そこで触れていた秋田時代の盛こけしの写しである。義一さんにお願いした最初の写しであり、その出来の良さに驚き、以後義一さんには沢山の写しをお願いすることになった。口絵写真はその写しの第2作であり、最も肉薄した作品である。

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