今日で71回目の3月26日を迎えた。昨年は、こけし手帖の校正作業で神田まで出かけ、ついでに靖国神社と千鳥ヶ淵で花見を楽しんだが(第425夜)、それが最後で以降まさかのコロナ禍による自粛生活に入ってしまった。本ブログも、この1年での更新は93夜で100夜には届かなかったということになる。さて、昨夜の話の続きである。「木の花」の解説によれば、袖珍こけしには80工人の組み物の他に、番外品や模様変りも紹介されている。今回、ヤフオク入手の豆こけしにもそれらに類するものやはっきりしないものも含まれていた。今夜は、それらの豆こけしを紹介しようと思う。口絵写真は小関幸雄の袖珍模様替わりこけしである。
ちょうど一週間前の日曜日、例によってヤフオクを眺めていると、豆こけしが纏めて出品されているのに気が付いた。締め切りまで残り6時間程で、価格は既に5桁になっていた。価格からしてそれなりのものと思って出品写真を詳しく見てみた。出品者写真に載っている豆こけしの本数は50本を超え、新型のようなものも数本あったが、その多くは戦前の袖珍こけしと思われるものである。そこで、袖珍こけしの解説が載っている「木の花」(第7号~11号)、また全作のカラー写真が載っている「古作こけし名品録」(カメイ美術館発行)と比べてみた。袖珍こけしには胴底に番号の印が押されている他、模様変わりや番外品もあるらしい。そして、出品作の中には「木の花」解説者の中屋惣瞬氏をして袖珍こけしの白眉・双璧と言わしめた佐久間粂松と虎吉、また屈指の佳作とされた小椋石蔵も入っているではないか…。入手したい気持ちが高まったのは言うまでもない。昨今のヤフオクの流れの如く、終了1時間前辺りから応札者が増え、価格も上がっていった。最終的にはマッチレースとなり粘り勝ちで落札に至った。それらの豆こけしを順次紹介していきたいと思う。今夜は、袖珍こけし6本である。口絵写真は、新山佐内の袖珍こけしである。
国恵は、こけしそのものは勿論好きであるが、木地細工物にも心が惹かれる。中でも、容器型のえじこの中に小さな子こけしを沢山入れた子持ちえじこは大の好みであり、機会があればコレクションに加えている。子持ちえじこは作るのに相応の木地技術が必要であることから誰でも作るという訳ではなく工人も限られる。笹森淳一さんは子持ちえじこの名人であり、国恵志堂のコレクションの中にも幸兵衛型と伊太郎型のものが入っている。「地梨(第43号)」(地梨の会発行)には笹森さんの30本の子こけし(本人型)が入った子持ちえじこが載っており、垂涎の的であった。先般、ヤフオクに同様の本人型子こけしが12本入った子持ちえじこが出品された。地梨の子持ちえじこのミニ版とでも言えるもので思わず手が出てしまった。今夜は、その子持ちえじこを紹介したい。口絵写真はそのえじこの表情である。
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