初期作

第508夜:初期の伊太郎型(小島俊幸)

Kojima_itaro_s430610_kao 昨夜の続きで、今夜は小島俊幸さんの伊太郎型である。昨夜の紹介にあるように、こちらも胴底に「43.6.10作」の書き込みがある。この時期に小島さんが阿保さんと一緒に作っていた伊太郎型が2種類あることは昨夜述べたが、本作は阿保さんの伊太郎型とは別の伊太郎型である。口絵写真は、その初期伊太郎型の表情である。

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第507夜:初期の伊太郎型(阿保六知秀)

Abo_itaro_s430610_kao このところ初期作の追及に励んでいるが、今夜は津軽系の佐藤伊太郎型である。現在、津軽系の多くの工人が伊太郎型のこけしを作っているが、kokeshi wikiによると、その発端は、昭和43年2月に鹿間時夫氏が佐藤善二に制作を勧めたのが発端であるとのこと。当時、善二には阿保六知秀と小島俊幸という二人の弟子があり、善二、六知秀、俊幸の3工人が伊太郎型に挑戦することになった。この3工人の初期の伊太郎型はkokeshi wikiの各々の工人の項で紹介されている。その初期の伊太郎型は3人とも2種類作っており、2本の異なる伊太郎こけしを「原」としたことが分かる。鹿間氏の著書「こけし鑑賞」を見てみると、佐藤伊太郎の項には3本のこけし(いずれも米浪氏蔵)が載っており、その内の左と中央の2本が「原」に選ばれたようだ。先週のヤフオクには、阿保さんと小島さんの伊太郎型が出品され、いずれも胴底には「43.6.10作」の書き込みがあり、その形態・描彩からも初期の伊太郎型と推測された。やや作風の異なる2本であり、比較する必要性から両方とも入札して手にすることができた。今夜はそのこけしを中心に初期伊太郎型を見てみよう。口絵写真は阿保さんの初期伊太郎型の表情である。

 

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第506夜:初期こけしの追及(岡崎幾雄)

Ikuo_s26_kao 特に関心を持っている工人のこけしに関しては、その変化・推移を追求していくことが多い。その一つの目標は最初期のこけしの追及であろう。戦後にこけし作りを始めた工人でも、その始まりが昭和20年代まで遡るケースでは残っているこけしも多くは無く、かなりの努力も必要となる。さて、岡崎幾雄さんのこけしに関しては栄治郎型を始めた昭和31年以前のこけしを「こけし 美と系譜」などを参考にしながら入手に努め、昭和28年まで遡って、第476夜で紹介した。先日、ヤフオクにそれより古い昭和26年というこけしが出品されたので、追及を更に進めるために入手した。今夜は、そのこけしを紹介したい。口絵写真は、その表情である。

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第505夜:こけしと由来(佐藤文男)

Fumio_s17_kao 古品と呼ばれるような古いこけしを扱う場合、そのこけしの由来(来歴)は重要な要素の一つである。由来とは、そのこけしが作られてからこれまでに歩んできた経過ということで、その過程で著名なコレクターに所有されたとか、文献等に掲載されたとかいう事があると、そのこけしに対しては一定の評価がされているということで、それ相応の扱いがされている。そのような由来については、陶磁器のようなものはそれが収納されている箱に箱書きのような形で記載されていることが多いが、こけしに関しては胴底に旧所有者の印やラベルなどで残されているものが多い。手書きで書かれた文言は、その書き手が判然としないことからその信憑性は参考程度に考えた方が良い場合もある。特に日付(制作日、入手日)については注意が必要である。さて、先日、ヤフオクに遠刈田系の佐藤文男の戦前作が出品されていた。文男の戦前作には興味を持っていたので、早速kokeshi wikiを見てみると、何とそのこけしがwikiに掲載されているではないか…。wikiにもヤフオクの出品解説にも、寺方徹氏旧蔵品と記されており、由来のはっきりしたものであった。そのためもあって入手欲は一気に高まり、その分価格も上がってしまったのは仕方のないことだろう。今夜はそのこけしを改めて紹介しよう。口絵写真は、その表情である。

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第504夜:「こけし事典」のこけし(大沼秀雄)

Hideoo_15sun_kao コロナ禍の中で外出も儘ならぬ中、ヤフオクに出品されるこけしを見る時間は十分にある。先日もヤフオクを眺めていると、大物こけしが何本か纏めて出品されているのがあった。通常、大物こけしは敬遠することが多いのだが、中にどこかで見たようなこけしが入っている出品があった。どうやらそれは鳴子の大沼秀雄さんの初期のこけしのようである。その鋭い視線と初期のこけしには珍しい車菊の模様が印象に残っていたのである。早速、文献を探してみると、「こけし事典」に同じようなこけしが載っていた。その写真と出品こけしを子細に比べてみると、どうも同じこけしに見える。出品こけしはどうやら「こけし事典」掲載の秀雄こけしの現品らしいということが想像された。ちょうど、秀雄さんのこけしを纏めている時でもあり、これは何としてもゲットしなければと入札に応じた。出品写真に載っている他の4本の大物こけしは特に注目されるようなものでもなく、そんなことからか、入札終了10分前まで、千円台の価格でオークションは進んでいた。最終的には強力な競争相手が現れて1桁上の相応な落札価とはなったが、何とか入手することができた。今夜はそのこけしを紹介したい。口絵写真はその表情である。

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第495夜:斉司の初期作(戦前)

Seishi_s15_kao 昨夜は桜井昭二の戦前作を紹介したが、今夜は同じ鳴子系の岡崎斉司の初期作である。斉司は大正15年生まれなので昭和ではないが、昭二と同世代と言っても良いだろう。斉司は昭和15年、高等小学校を卒業してから父斎について木地修業を始めるが、描彩は小学校の時から始めていたと言う。従って、木地挽きに慣れれば、こけしを作ること自体はそれほど難しくはなかったのであろう。深澤要が昭和16年に鳴子を訪れた際には、その作品が斎のこけしと一緒に店の棚に並んでいたと「こけし追及」には書かれている。本作は、胴底の張り紙で久松旧蔵、昭和15年との記載がある。口絵写真はその表情である。

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第494夜:昭二の初期作(戦前)

Syo2_s15_kao 2020年も最後の週を迎えた。東京では、新型コロナの新規感染者が千人超え目前に迫っている。しかし、毎日のように新規感染者数が過去最高を記録しているとマンネリ化してくるのも否定できない。我々高齢者は、リスクを避けて家に籠り、家族以外とは殆ど会わないでいるのが一番の対策であろう。12月に入ってから、ヤフオクでは鳴子の古品が時々出てきており、それを丹念に集めてきたの、今年最後の紹介としたい。今夜は、鳴子系の桜井昭二である。昭二は名前の通り昭和2年の生れ。昭和生まれの工人で戦前のこけしが残っている稀有な工人でもある。その後の髙橋正吾、遊佐福寿、大沼秀雄の世代となると戦前作は作られていない。口絵写真はその戦前作の表情である。

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第485夜:こちらは習作(鈴木征一)

Seiichi_s51_kao 前回の大沼正人と一緒に入手した18本こけしの中に、鈴木征一のこけしが入っていた。ヤフオクの出品写真の中に、この征一こけしの胴底の写真が載っており、そこには「51.8.2 鈴木征一 練習中のもの」とある。征一は昭和47年5月から、奥山庫治について木地修業、5年間木地下を挽いて昭和52年5月に独立、昭和53年頃より自身のこけしを世に出したとある。(kokeshi wikiより)。征一の初期のこけしとしては、千夜一夜(1)の第888夜に昭和52年7月の作を掲載している。どの時点のこけしを征一の「初作」とするかは定かではないが、独立した52年5月とするのは一つの考え方であろう。それ以前の主に木地下を挽いていた頃にも練習でこけしは作っていたであろうし、そんな中の1本が今回のこけしと言えるだろう。練習中の作ということで「習作」とした。「初作」は一応作品としては完成品であるが、「習作」は未だ完成品とは言えないので、「初作」とはまた違った観点から見なければいけないのだろう。

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第484夜:初作の魅力(大沼正人)

Masato_syosaku_kao 完成されたピーク期と言われる時期のこけしの魅力は言を待たないが、ある種それとは対極にある初期のこけしの魅力も侮れない。初作を作った時に入手するのは容易ではないため、中古品の中から探すことになる。「初作」の魅力は何かと問われれば、先ず第一に「初々しさ」と答えたい。木地修業に入り、やがてこけしを作ることになるが、木地にはぎこちなさが残り、描彩は稚拙でたどたどしいものである。しかし、そこには初めて自分のこけしを作ったと言う意気込みが感じられ、それが「初々しさ」として見る者の心に響くのである。さて、先週末に締め切りを迎えたヤフオクのワンコイン出品の中に18本の纏め出品があった。多くのこけしの纏め出品の場合、不要なものも送られてくるため敬遠する向きもあり、思わぬ掘り出し物に遭遇することもある。今回の出品こけしの中では大沼正人のこけしが気にかかった。正人は大沼健三郎の孫にあたり、健三郎の後継者として期待された工人であった。昭和58年(20歳)から木地修業・こけし製作を始めたとあるが、kokeshi wikiでも詳細な記載はない。こけしブームの終焉と共に転業してしまったようである。そこで、昭和時代のガイドブックを括ってみると、「伝統こけし 工人手帳」第4刷(昭和60年5月発行)に工人とこけしの写真が掲載されていた。それと比べて今回出品中の正人こけしは手慣れておらず、それらよりも前の作と推測して入札に参加した。流石に他にも応札者がありワンコインでの落札にはならなかったが、4コイン半ほどでの安価な落札となった。今夜はその正人こけしを紹介しよう。口絵写真はその表情である。

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第483夜:鉄則の幸兵衛型を遡る

Tetunori_kobe_roboteye_kao 国恵がこけし収集を始めた昭和40年代の後半、既に第二次こけしブームが盛り上がりを見せており、津軽系の盛秀太郎のこけしは雲の上の存在、その弟子の奥瀬鉄則のこけしも垂涎の的であった。しかし、こけし初心者にとって当時の盛秀/鉄則のこけしはコレクションにぜひ入れたいものであったのも事実であった。ようやく1本の鉄則こけしを入手するも、鉄則は色々な種類のこけしを作っており、渇望感は増すばかりであった。鉄則こけしには盛秀型と幸兵衛型の二種類があることを知り、幸兵衛型は盛秀型ほど人気は高くなく入手もし易いとの思いから、幸兵衛型を中心に鉄則こけしを集めることにした。幸兵衛型も集め出すと、数種類あることが分かり、更に年代変化もあることから次第に初期の幸兵衛型に目を向けるようになった。「盛秀一家のこけし辞典」などから、鉄則の最初期の幸兵衛型は通称「ロボット」と呼ばれる目の大きい愛らしいこけしであることが分かった。そのロボットは新型っぽい描彩のものであるが、人気が高く未だに入手するに至っていない。前置きが長くなったが、先日ヤフオクに、そのロボットによく似た目をした鉄則のこけしが出ていた。よく観察するとロボットではないが、手持ちの中では最も古い鉄則幸兵衛型とロボットの間にあたるこけしに見えてきた。そこで、急遽入札に参加すると価格は高騰することなく、ほぼ適正と思われる価格で手に入れることができた。今夜はそのこけしを紹介しよう。口絵写真は、その表情である。

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