初期作

第614夜:松一さんの初期(戦中)こけし

Matu1_s19_kao 父である伊藤松三郎を継いで、戦後の鳴子こけしの中心工人のひとりとして活躍した松一さんの初期のこけしについては殆ど知られていないのではないだろうか。先日ヤフオクに気になるこけしが出品された。一見では誰のこけしか分からなかったが、「松一」という署名と「19.2」の書き込みがある。手元で調べてみたいと思い、参戦して入手することができた。今夜はそのこけしを紹介しよう。口絵写真は表情である。

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第611夜:柿崎さんの鳴子型

Kakizaki_naruko8_kao 中ノ沢の柿崎文雄さんは蛸坊主の会の代表として、人気の中ノ沢こけしを支えている。齢70台の半ばになるが精力的にこけしを作っているので知っている人は多いであろう。しかし、その柿崎さんが最初は鳴子の「高亀」で修業し、鳴子系のこけしを作っていたことは意外と知られていないかも知れない。「高亀」のこけしを調べていけば出てくる工人ではある。鳴子系こけしの製作は昭和42年~45年頃までで、中古市場でもめったにお目にかからない。先月その柿崎さんの鳴子型がヤフオクに出たので入手した。今夜はそのこけしの紹介である。

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第604夜:正吉の初期こけし

Syokiti_syoki_kao 今年最初の「大物」を入手した。佐藤(大原)正吉のこけしである。年が明けて、書肆ひやねの「こけし往来(第71集)」が届き、その委託入札の頁に載っていたものである。ひやねは最近はヤフオクにも精力的に良品を出品しており、そちらで入手する方が多くなったが、長年の付き合いである往来は勿論気になる存在である。米浪旧蔵というそのこけしの鋭い視線に魅せられて応札した。最低価が相応のものであったせいか応札は他に無く入手することが出来た。今夜はその正吉こけしを紹介したいと思う。

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第598夜:宣直さんの復活こけしとその後

Yoshinao_r3_fuukatu_kao 11月に行われた「第41回みちのくこけしまつり」で鳴子の髙橋宣直さんが官公庁長官賞を受賞した。「高亀」の伝統を受け継ぐ宣直さんが事情があってこけし作りから離れたのは平成17年9月のこと。多くのこけし愛好家が残念に思ったものである。父正吾さんの逝去(平成2年6月)に宣直さんもこけし作りの再開を決意したのであろう。大阪こけし教室の中根会長のご尽力もあって、令和3年4月、宣直さんの復活こけし(3月作)が大阪こけし教室から頒布された。先日、それ以降の作も含めて、中根会長からお譲り頂いたので紹介させていただく。口絵写真は復活初作こけしの表情である。

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第597夜:津軽こけしの源流を求めて(諒祐3)

Ryosuke_maegami_kao 引き続き、諒祐さんの盛秀古型の紹介である。写しの対象となった「原」こけしは西田記念館に所蔵されている昭和初期の盛秀こけしで、顔の上部と左右に赤い飾りを付けた通称「前髪」と呼ばれるこけしである。(kokeshi wikiの盛秀太郎の項を参照)。前2夜で紹介した盛秀古作は「こけし這子の話」に掲載された大正期のこけしで、その表情はグルーミー感が強いが、今夜の盛秀古作はやや後年の作となり、鯨目の表情もやや穏やかになっている。では、諒祐さんの「前髪」を見てみよう。

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第596夜:津軽こけしの源流を求めて(諒祐2)

Ryosuke_momiji_kao 昨夜に続いて、諒祐さんのこけしを見て行こう。大阪こけし教室の「山河だより」や東京こけし友の会の「こけし手帖」の例会頒布こけしの写真を見てみると、諒祐さんは盛秀の古型と本人型を作っていることが分かる。両者を比べてみると、やはり盛秀古型の方に目が行ってしまう。一口に盛秀古型と言っても、その種類は結構沢山あり、それをどのように作っていくのかは興味深い。今夜のこけしもそんな盛秀古型の1本である。

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第595夜:津軽こけしの源流を求めて(諒祐1)

Ryosuke_4kame_kao コロナの第8波が懸念される中、日本中が歓呼の中で師走を迎えた。サッカーW杯で日本が強豪のドイツ、スペインを撃破して決勝トーナメントへ進んだのである。当初の予想を覆すこの快挙は今年最後を飾る明るい出来事であり、決勝トーナメントでの更なる朗報を期待したい。さて、ここのところ更新が滞っている本ブログも、このサッカーの勢いに力を得て先に進んでいこう。今夜は、津軽系の新人、盛諒祐さんのこけしを初めて取り上げて紹介する。

 

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第587夜:弘道の微笑み(誕生2)

Hiromiti_s3307taishi_kao台風が去って久し振りの好天の中、10月を迎えてこけし関係のイベントも賑やかになってきた。さて、国恵志堂の主要蒐集こけしの1つである斎藤弘道のこけしは昭和31年頃から作られているが、評価の高い弘道こけしは昭和33年7月作がその始まりではないかということを第547夜に書いた。それと同時期の7月作の弘道太子型がヤフオクに出品され、頑張って入手したので改めて紹介したい。弘道の太子型は6寸に絞って集めているので、今回はその条件にも合致し、正に待っていたこけしが手に入ったという感じである。口絵写真はその表情である。

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第577夜:佐久間義雄(二代目虎吉)のこけし

Tora2_s34yoshio_kao 筆者がこけしの収集を始めた昭和40年代後半頃には、二代目虎吉のこけしは入手難になっており、デパート等の展示・即売会では抽選品となっていた。その二代目虎吉のこけしも今では格段に安価になっており容易に入手が可能となっている。そんな二代目虎吉こけしの中でも、義雄名義(署名)のものは依然として高値で入手も容易ではない。製作数が少ないということが大きな要因なのであろう。戦後のこけしは沢山作られたこともあって今ではその多くが安価で容易に入手できるようになったが、一部の定番こけしは相変わらず人気があって高価になっている。義雄名義のこけしもその中の一つという事が出来るだろう。口絵写真は義雄こけしの表情である。

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第564夜:覚平の初期こけし(祝!カーリング女子<銀>)更新有り

Kakuhe_s33_kao 先ほど、北京冬季五輪のカーリング女子の決勝戦が終わった! 初めて決勝まで進んだ日本代表のロコ・ソラーレは残念ながら因縁の宿敵英国に敗れて2位となったが、初の銀メダル、五輪2大会連続のメダル獲得という快挙となった。カーリングLOVEの筆者は全ての試合を観戦し、勝っては喜び、負けては悔しい想いを抱いてきた。予選最終戦のスイスに負けての落胆から、前回と同じくスウェーデンの勝利により決勝進出をプレゼントして貰い、そこでスイスにリベンジしての銀メダル獲得。予選・決勝合わせて11試合という長丁場を経ても取れるメダルは1個だけ。そのメダルの重さは計り知れないだろう。勝った英国のスキップのミュアヘッドは前回の日本戦で自身のミスショットでメダルを逃し、それから4年間の苦しみを耐えての栄冠であった。表彰式では、あの気丈なミュアヘッドの目に涙が光っていた。日本はこれで、次回五輪では金メダルという大きな目標もできた。ロコ以外の日本のチームにも次を目指して頑張って貰いたいと思う。

さて、今夜紹介するのは南部系、佐々木覚平の初期のこけしである。南部系のこけしは特に力を入れている訳でもなく、従って所蔵するこけしもそう多くはない。佐々木家のこけしも10本にも満たない。そんな中、先日ヤフオクに出品された覚平のこけしは、初期のこけしと思われるもので、その風情に惹かれて入手した。口絵写真はその表情である。

掲載後、本作とほぼ同時期の作をご寄贈頂いたので、それを追加した(2/25)

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